種目別展望 女子ダブルス
日本トップ3に優勝の可能性。世界が日本の勝利を阻みにかかる
ここ3年、決勝戦には日本ペアが勝ち進み、2017年は髙橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス・WR3位)、2018年は福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜・WR2位)が優勝した。昨年の世界女王・永原和可那/松本麻佑(北都銀行)はまだ優勝したことはないが、今年4月にWR1位に就き、実力をいっそう高めている。いま、この日本トップ3のうちどのペアが優勝してもおかしくない状況で、初めての日本3連覇は夢ではない。
したがって女子ダブルスの見どころは、今回、優勝するとしたら3ペアのうち、どのペアなのか、さらに日本を阻む海外ペアがいるのか、という2点に尽きる。
勝ち上がり表を大きく2つに分けると、日本ペアが数多く集まったのが、永原/松本が第1シードに座る山組だ。出場する日本6ペアのうち、第2シードの福島/廣田以外、5ペアが集まった。
1回戦では、東京五輪レースの生き残りをかける米元小春/田中志穂(北都銀行・WR7位)が、次世代の星・志田千陽/松山奈未(再春館製薬所・WR12位)と当たる。トップ3に追いつきたい米元/田中は、五輪レース前半のいま、より上位へ進まなければ、後半戦でレースに残るのが難しくなり、大きなプレッシャーを背負う。挑戦者の志田/松山の元気のよさに屈しないように気持ちを強く持ちたいところ。勝ったほうのペアはおそらく準々決勝で永原/松本と対戦する。
3回目の優勝がかかる髙橋/松友は、2回戦で櫻本絢子/髙畑裕紀子(ヨネックス・WR18位)と当たるか。昨年の全日本総合選手権・準決勝では、髙橋/松友が17本、11本で勝っており、圧倒的に分がいい。
髙橋/松友は2回戦を抜けられたら、準々決勝では中国の2番手・杜玥/李茵暉か、韓国の鄭景銀/ベク・ハナのどちらかと当たる確率が高い。杜玥/李茵暉は21歳&22歳と若く、直近のドイツオープンで敗れている怖い相手だ。
韓国ペアとの対戦になれば、鄭景銀に球を集めないように警戒する展開になる。ジョン・キョンウンはリオ五輪の銅メダリストで、今回は2017年世界ジュニア優勝の18歳ベクの成長のため、暫定的に出場している可能性が高い。足をすくわれないようにしたいところだ。
髙橋/松友が、これらのペアを突破して準決勝で永原/松本と顔を合わせれば、バドミントンファン待望のカードになる。永原/松本は5月のスディルマン杯で勝負所を任され、日本トップ3のなかでもっとも調子がよさそう。"挑戦者"の髙橋/松友が豪打を誇る世界1位にどう策を練るかに注目だ。
そして、日本ペアで唯一、決勝まで同国対戦しない福島/廣田は、海外勢からの砲火を一手に引き受ける。
準々決勝では、韓国の李紹希/申昇瓉(WR6位)からの挑戦を受けることになりそう。長い手足を持つ李/申は、韓国らしいねばりを持ちながら、攻撃力を持ち合わせるタイプ。2勝中の福島/廣田は二人らしく堅実にラリーをつなぎ勝利を呼び込みたいところだ。
さらに福島/廣田の準決勝の相手として勝ち上がってきそうな候補は3ペアいる。もっとも可能性があるのは昨年2位の陳清晨/賈一凡(中国・WR4位)だが、2人が2回戦で当たりそうな金昭英/孔熙容(韓国)も上位候補に躍り出ている。WR14位ながら、5月のニュージーランドオープンで日本のトップ3を連破した実績を誇る。仮に陳/賈が攻撃型の2人を倒しても、次は"ノーロブ"の妙手、ポリー/ラハユ(インドネシア・WR5位)が待っており、どのペアにも準決勝進出のチャンスがある。
もし陳/賈がこの混戦を抜け、福島/廣田と準決勝で激突すれば、昨年の決勝と同じカードで必ずおもしろい試合になる。福島/廣田が昨年の決勝を再現して勝ち、反対側の山からも日本ペアが勝ち上がってきたら、2014年以来、2回目の日本同士の決戦が実現する。日本にとっては、これ以上ないうれしい展開だ。東京五輪の出場権を奪い合うライバル同士の対戦になり、魂をぶつけ合うような名勝負になるだろう。
*世界ランキングは6月25日付
いよいよ開催のダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2019。
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