大会の見所2 男子シングルス注目選手
ビクター・アクセルセン(デンマーク)
Viktor AXELSEN
世界ランキング3位(6月18日付)
「打倒・桃田を誓う欧州の雄」
昨年の男子シングルス準決勝。勝った桃田賢斗(NTT東日本)は笑顔だったが、ビクター・アクセルセンはやりきれない表情を見せていた。これで2勝9敗――。
同じ1994年生まれで、ジュニア時代からのライバルだから意識せざるを得ない相手だ。
今年、2人は25歳になる。世界で頭角を現したのはアクセルセンが早く、桃田が最前線を離れている間、一気に才能の花を開かせた。
2016年リオ五輪で銅メダルを獲得し、年末にはスーパーシリーズファイナルズ(ワールドツアーの前身)で、スーパーシリーズ初優勝。その後も強さに磨きをかけ、2017年世界選手権の王者になり、世界1位の座も手に入れた。
しかし、栄華は1年しか続かなかった。桃田が世界に戻ってくると、ライバルは課題だったフィジカルの弱さを克服しており、2018年9月、アクセルセンと入れ替わりで世界1位に就いた。
昨年のダイハツ・ヨネックスジャパンオープンでは、敗れたあと、桃田の強みを尋ねたい多くの記者たちに囲まれている。このとき「もういいかな?」と早く立ち去りたいそぶりを何度も見せ、やっと口にしたのが「桃田選手は技術が非常に高くて…」という言葉だった。
アクセルセンの武器は、194センチからの鋭角ショットだが、桃田はアクセルセンが決定打を生み出す機会を、得意のネットプレーで封じるのだ。
だが、いま、そんなアクセルセンに希望の光が射している。
復帰以降の桃田に一度も勝てていないのは相変わらずだが、3月の全英選手権決勝で、ファイナルゲームに持ち込んだ。
積極的に攻めて2ゲーム目を奪い、こう振り返っている。
「いままでの対決で一番いい試合ができた。高いレベルの試合をこんなに長くしたことはない。自分は前よりも強くなっている」
打倒・桃田に誰よりも燃えるアクセルセン。全英選手権後は、「優勝にふさわしい桃田選手にお祝いの言葉を贈ります」とライバルを称えるスポーツマンシップも併せ持つ。
もし2人が当たったら、次はどれだけすごい試合になるのか。再戦が今から待ち遠しい。
⦿ビクター・アクセルセン
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