2回戦 7月25日(木)の好カード
1回戦が終わり16強が出そろった。ベスト8をかけての戦いは一層熾烈で、好カードが連続する。2回戦のなかから、選りすぐりのカードを紹介しよう!
男子シングルス①
周天成(チャイニーズタイペイ) VS ヤン・ウ・ヨルゲンセン(デンマーク)
⦿対戦成績:周天成が6勝 ヨルゲンセンが5勝
「インドネシアOP優勝の周天成がベテランと対決」
7月21日までのインドネシアオープンで優勝し、世界ランキング3位に上昇した周天成が、2016年のファイナリスト、ヤン・ウ・ヨルゲンセン(WR27位)と対戦する。
2日目の1回戦でもっとも会場を沸かせたのが31歳のヨルゲンセンだった。五輪を二度制した林丹(中国)との緊迫するファイナルゲームを制し大きな拍手を浴びた。林丹の浅いロブを読んでは前に出てプッシュ。勇気ある突進が勝利を引き寄せていた。31歳のベテランは、「左脚を傷めて、正直、本調子ではないんだけど、勝つことができた」と喜びの言葉をもらした。
そんなヨルゲンセンを、好調の周天成が迎える。2013年まで周天成は5回連続で負けたが、2014年からは6連勝。今回、圧倒的に周天成の勝率が高い。
しかし林丹戦で見せた通り、ヨルゲンセンの粘りは大したもので、周天成とも数多くファイナル勝負をしている。ヨルゲンセンは「明日は体調に相談しながらやるつもり」と冷静に話していた。
周天成も体調を気遣いながら戦う29歳のベテランだ。そしてコーチに頼らず、たった一人で戦う。コートサイドに指導者はいない。「最終的に自分で考えないと勝てないから」と一人で勝ち抜くことにこだわってきた。
そんな点はヨルゲンセンも似ている。孤高を貫く者同士の対決といえるだろう。この顔合わせでは円熟味のある者同士の高度なラリーが展開される。
⦿周天成
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男子シングルス②
ヨナタン・クリスティ(インドネシア) VS 伍家朗(ホンコン・チャイナ)
⦿対戦成績:伍家朗が4勝 クリスティが3勝
「勝つのは"ラリー"か"速さ"か」
昨年、インドネシアで開催されたアジア大会で優勝。その名を一気に世界に広めたライジングスター・ヨナタン・クリスティ(WR7位)が、上位常連の伍家朗と対戦する。インドネシアで21歳のクリスティと、22歳のギンティングはインドネシアで人気を二分する。ギンティングが玄人受けするタイプなら、甘いルックスを持つクリスティは、マスコミの露出が多く、"ジョジョ"と親しみを込めて呼ぶ女性が多い。プレースタイルは、日本のエース桃田に似たフェイントを駆使するラリー型だ。
対戦する伍家朗も世界に女性ファンを多く持つ。世界ジュニアの男子ダブルスを制した実績が示す通り、速いラリーを好み、対戦相手に反応する隙を与えない。ここ2年、勝ち越しているのは伍家朗だが、直近ではクリスティが勝っており、試合は五分五分だろう。
「1回戦を勝ったように集中力を持続して勝ちに繋げたい」とはクリスティ。ラリー力が勝つか、速さが勝つかに注目してほしい。
女子シングルス①
戴資穎(チャイニーズタイペイ) VS グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)
⦿対戦成績:戴資穎が2勝
「世界1位が元ジュニアNO.1を迎える」
ここ2年半、世界ランク1位に座るチャイニーズタイペイの戴資穎が、2017年世界ジュニア優勝のグレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア・WR16位)を迎える。
19歳のトゥンジュンは、2013年にインドネシア代表入りし、翌年世界大会にデビュー。ジュニアを卒業した2018年からメジャートーナメントの準決勝に顔を出すようになった。素早く動いて先手をとり、相手のよいプレーを封じて勝利を引き寄せるスタイルだ。
戴資穎とは、5月のスディルマン杯でも対戦している。このときは、対応力に優れる戴資穎のショットに翻弄され、16本、14本の完敗だった。「自分は直感型。打つ寸前に何を打つか決めるので、自分でもびっくりするような球を打つこともある」という戴資穎は、同じフォームから様々なショットを巧妙に打ち分ける。
トゥンジュンは、いかに戴資穎の体勢を崩し、自由自在に球を打たせないか。19歳の挑戦を見てほしい。
女子シングルス②
プサルラ・V・シンドゥ(インド)VS 大堀彩(日本)
⦿対戦成績:シンドゥが7勝
「インドと日本の攻撃型が激突」
リオ五輪の銀メダリスト、プサルラ・V・シンドゥ(WR5位)が、日本の大堀彩(WR20位)と対戦する。
世界きっての攻撃型に、日本一の攻撃型が挑戦する構図だ。シンドゥは圧倒的な攻撃力だけでなく、長い手足を生かした守備力も併せ持つ。大堀は「他の選手との対戦と同じ感覚で球を上げると、ワンジャンプでつかまってしまう。そこを気をつけながら試合をしたい」と警戒している。長丁場になることも覚悟している。
「試合は長くなると思うので、しっかりと準備して臨みたい」(大堀)
簡単な相手ではないが、「五輪レースは何が起きるか分からない。最後まで戦い抜きます」ときっぱり話す大堀の決意のプレーに注目してほしい。
男子ダブルス
ギデオン&スカムルヨ(インドネシア) VS 保木卓朗&小林優吾(日本)
⦿対戦成績:ギデオン&スカムルヨが8勝
「好調の保木&小林。世界1位に挑む」
7月21日までのインドネシアオープンで日本のエース、園田/嘉村を破り3位入賞を果たした日本の3番手・保木/小林が世界ランク1位のギデオン/スカムルヨに挑戦する。
インドネシアオープンで園田/嘉村に勝ったのは、保木のレシーブ力が向上したことが大きいという。「保木が前よりクロスの奥へしっかりレシーブしてくれるので、僕が前より攻められるようになった」と説明するのは後衛の小林だ。小林の攻撃が増せば、保木がネット前に詰めて決める機会も増す。
7月上旬の合宿における羽根をほとんど打たないフィジカルトレーニングの結果、体が強くなり「我慢もできるようになった」(保木)と成長も感じている。
好調は今大会でも続き、1回戦でリオ五輪・男子ダブルスの金メダリスト張楠のペアにストレート勝ちした。2回戦のギデオン/スカムルヨには8戦全敗中だが、「初勝利を日本で出せたらいい」と保木は力を込める。
迎えるギデオン/スカムルヨは、「いま日本は強くなっており、挑戦するつもりで戦います」と全力を誓う。こちらはダイハツ・ヨネックスジャパンオープン史上2組目の3連覇がかかり、攻撃の手を緩めるつもりはない。
⦿マルクス・F・ギデオン
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⦿ケビン・S・スカムルヨ
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女子ダブルス
陳清晨 & 賈一凡(中国) VS 金昭映&孔熙容(韓国)
⦿対戦成績:陳清晨 & 賈一凡が2勝
「日本がライバル視する2ペアが対戦」
今年5月のニュージーランドオープンで日本の3強、永原/松本、福島/廣田、髙橋/松友を連破して優勝した韓国の金昭映/孔熙容(WR13位)が2回戦に進出。日本ペアがもっともライバル視している陳清晨/賈一凡(WR13位)と対戦する。
2018年3月のドイツオープン以来の対戦だ。このとき勝ったのは、当時世界王者の陳清晨/賈一凡だが、スコアは25-23、16-21、21-18の大激戦。どちらに転ぶか分からない試合だった。だから、陳清晨と賈一凡は「本当に強い相手。私たちは挑戦者のつもりでいきます」と、きっぱりいうのだ。
中国ペアの持ち味は、コンビネーションのよさを生かした波状攻撃。陳清晨がネット前でゲームメイクし、賈一凡の攻撃に繋げる。韓国の徹底した攻めを多彩にレシーブする力もあり、相手を揺さぶったあと、韓国ペアを襲いにかかるだろう。韓国ペアはしっかりレシーブされる前にコースを狙って攻め切りたい。
この対戦で、日本の強力なライバルがひとつ消えることは惜しいが、それだけの激戦が期待できる。
混合ダブルス
プアヴァラヌクロー&タエラッタナチャイ(タイ) VS ランキレッディ& ポンナッパ(インド)
⦿対戦成績:プアヴァラヌクロー&タエラッタナチャイが1勝
「タイとインドの熱血対決!」
タイのエース・プアヴァラヌクロー&タエラッタナチャイ(WR4位)が、インドの"年の差ペア"ランキレッディ& ポンナッパ(WR25位)と対戦する。
インドペアの司令塔は、29歳のポンナッパ。2011年世界選手権の女子ダブルスで銅メダルを獲得したことがあり、ネット前の巧者として名が知れている。一方、パートナーのランキレッディは2年前、インドの至宝のパートナーに抜擢された18歳だ。それだけに攻撃力は非凡で、ポンナッパに導かれて後方から打ち続ける。東京オリンピック出場も、このペアで目指しており、まずは世界ランキングを16位以内に上げることが目標だ。
対するタイペアはタエラッタナチャイが男子並みの攻撃を見せ、速い球回しでラリーを展開する。2人が代わるがわるスマッシュを乱れ打つ様子は迫力満点で、混合ダブルスの常識を覆すような凄みがある。
世界ランキングでは大きな差があるが、実力までかけ離れているわけではない。注目してほしい一戦だ。