準決勝 7月27日(土)の好カード
準決勝の注目カードを紹介!
心技体すべてが揃う者たちのみが足を踏み入れられる準決勝。すべてが好カードといえるが、ここでは、選りすぐりの注目カードを紹介する。
男子シングルス
桃田賢斗(日本)VS B.サイ・プラニース(インド)
⦿対戦成績:桃田賢斗が2勝 プラニースが2勝
「桃田が2連覇に突き進む雄姿を目撃せよ!」
準々決勝、2連覇を狙う桃田賢斗(WR1位)は、「これからトップ争いをしていく選手」とライバル視しているアンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア・WR8位)との90分の激闘を制した。互いを称え合う抱擁を交わしたあと、「よっしゃー」と天にこぶしを突きあげた姿は感動を誘った。
「あと5分、試合が長かったらやばかった。いま立っているのもしんどいです。踏ん張った気合の試合でした」(桃田)
準決勝では、インドのB.サイ・プラニース(WR23位)を迎える。プラニースは来月、27歳になるインドの三番手。1回戦で西本拳太(WR11位)、2回戦で常山幹太(WR17位)を下したJAPANキラーだ。3月のスイスオープンではジャンピングスマッシュの連打でリオ五輪の金メダリスト・諶龍(WR4位)を下し準優勝した。
「スイスオープン以降、調子がいいので、明日もベストを尽くします。インドは東京オリンピックを目指す選手がたくさんいるので、出場は簡単ではありませんが、最後までレースを戦いたいので」
一方、ギンティングとの苦しい戦いを乗り越えた桃田は、2連覇に向けての集中力が増している。準決勝、必ず訪れるであろう緊迫する場面への覚悟も決めた。
「我慢する場面は必ずやってくるはず。今日のように逃げずに戦いたい」(桃田)
桃田らしい辛抱強いラリーで、相手の強烈なスマッシュも拾って見せる。
⦿桃田賢斗
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女子シングルス
山口茜(日本)VS 陳雨菲(中国)
⦿対戦成績:山口茜が9勝 陳雨菲が6勝
「日本の山口、スディルマン杯の雪辱なるか」
スディルマン杯の決勝戦で互いにエースとして戦った山口茜(WR2位)と陳雨菲(WR4位)が激突する。スディルマン杯では、山口が3ゲーム17本の激戦で土をつけられた。リベンジを期す準決勝は、約2カ月ぶりの顔合わせだ。
日本のファンにとってうれしいのは、2013年以来、2回目の優勝を狙う山口が好調なことだ。インドネシアオープンに続き、準々決勝で負け越しているプサルラ・V・シンドゥ(WR5位)にストレートで勝った。1ゲーム、最大6点差からの逆転に成功し、「速いスピードになって中盤苦しかったけど、とりきれた」と山口。「きついときも、きつさがマシになっていて、我慢できるようになっていると」とフィジカルの向上も勝因に挙げた。
山口を好調たらしめている理由として、守りから攻めへの転じ方に幅が出てきたことも挙げられる。インドネシアオープン緒戦で「こうすれば攻められるんだ」という気づきを得て、プサルラ連破に繋げられたという。山口は「この感覚をいつまで継続できるのか…」という不安を口にするが、陳雨菲に攻められたときにも使える"勝つコツ"だといえよう。
陳雨菲はラリーが巧みでキレのいいショットを持つ難敵だが、「回されるのではなく、自分から仕掛けていきたい」と山口は闘志を燃やす。
対する陳雨菲は、決意をこう口にする。
「相手をまず見るのではなく、まずは自分らしいプレーを心がけたい」
陳雨菲が頂点につけば、自身初、そして中国としては3年ぶりの26回目の優勝になる。
男子ダブルス
ギデオン/スカムルヨ VS 李俊慧&劉雨辰(中国)
⦿対戦成績:ギデオン/スカムルヨが9勝 李俊慧&劉雨辰が2勝
「世界1位と2位が対戦。激戦必至!」
男子ダブルスは世界ランキング1位と2位が激突。バドミントンファンにはたまらない贅沢な時間になりそうだ。
世界1位のギデオン/スカムルヨと同2位の李俊慧&劉雨辰の顔合わせは、毎回スリリング。インドネシアペアが9勝2敗と圧倒しているが、中国ペアの勝利への思いは強く、力強い連続攻撃には情熱が溢れる。195㎝&193㎝が繰り出すスマッシュには角度があり、迫力満点なのだ。
しかし、この猛打をインドネシアペアはレシーブしきる。昨年の決勝戦でもそうだったようにシャトルをネット前に返して高く上げさせ、たちまちチャンス球にしてしまう。中国ペアはひとたび攻めの陣形 "トップ&バック"を築かれると、その波状攻撃を止めることができないのだ。
"ミニヨンズ"と愛称のつく小柄なインドネシアペアが大柄な中国ペアを制圧していく姿は鮮やかとしか言いようがない。
もちろん中国ペアも対策は練っている。昨年12月のワールドツアーファイナルズで3年ぶりの勝利を飾ったように、インドネシアペアに接近しつつある。
「中国ペアはいつも変わったことを仕掛けてくるんです。一番のライバルだと思っているし、明日の試合は本当にいい試合になると思います。楽しみにしていてください」
こう話すのは、前衛のスカムルヨ。こちらは「世界一のネットプレーヤー」という評判が高く、そのトリッキーな球出しにも酔いしれてほしい。
女子ダブルス
永原和可那&松本麻佑(日本)VS 髙橋礼華&松友美佐紀(日本)
⦿対戦成績:永原&松本が3勝 髙橋&松友が4勝(国際大会)
「日本対決。ナガマツVSタカマツ!」
昨年、世界選手権を制した永原和可那/松本麻佑(北都銀行・WR2位)と、リオ五輪の金メダリスト、髙橋礼華/松友美佐紀(WR3位)がいよいよ激突する。世界ランク1位の福島由紀/廣田彩花(WR1位)が準々決勝で姿を消し、今大会で日本3強による同国対決が見られるのは準決勝だけだ。
厳しい連戦で実戦感覚を磨いたのは永原/松本。勢いのある松山奈未/志田千陽(WR12位)を23-21、21-18で突き放し、貫禄を見せた。2回戦でもマレーシアのチョウ/リー(WR14位)の猛追を3ゲーム18本でかわし、競っても決して勝利を渡さない瀬戸際の強さを見せつけた。
一方、髙橋/松友は3戦ともストレート勝ちで危なげなく準決勝へ。昨年敗れた杜玥/李茵晖(WR7位)と対戦した準々決勝ではドロップやクリアーを有効に使い、相手を前後に揺さぶって勝利。「これでリベンジを果たし、昨年の成績を上回れた。優勝への思いは強いので気を緩めず戦いたい」と髙橋は気を吐いた。
2ペアが対戦するのは6月に行われた全日本実業団以来。国内最高峰の団体戦では永原/松本が16、17本で勝った。だが、国際試合でここ3連勝しているのは髙橋/松友だ。実力は伯仲し、どちらが勝利を引き寄せるか、やってみないと分からない。
2ペアの持ち味は、大きく異なる。走力があり、しぶといのは共通しているが、170㎝&177㎝の長身で攻撃力がよりあるのが永原/松本。リーチの長さを生かした堅守も大したものだ。
髙橋/松友は高校時代からペアを組むコンビ力を最大の武器にしている。前衛を務める松友の多彩なショットを髙橋は誰よりも熟知し、2人がかみ合ったときのプレーには爆発力がある。
この戦いで五輪出場権レースを有利に進めるのはどちらのペアか、気になるところだが、まずは日本が世界に誇る2ペアの至高の戦いを楽しんでほしい。
混合ダブルス
王懿律&黄東萍(中国)VSチャン&ゴー(マレーシア)
⦿対戦成績:王懿律&黄東萍2勝 チャン&ゴー3勝
「世界ランキング2位とリオ銀が対戦!」
2018年4月から世界ランキング2位を保持する王懿律/黄東萍が、リオ五輪の銀メダリストで、2012年ヨネックスオープンジャパン優勝のチャン/ゴー(WR5位)と対戦する。
準々決勝で日本の渡辺/東野を破ったチャン/ゴー。ここ最近、2連敗したときの試合の映像を分析し、リベンジに成功した。「自分たちがミスしやすい展開に気づき、そこを修正しました」と説明するのはゴー。準決勝で対戦する王懿律/黄東萍にも3連敗中で、「明日もしっかり分析して臨みたい。中国ペアはスピードとパワーがあるので、僕らはしっかり戦術を考えていきたい」とチャンは語っている。
チャン/ゴーは今年、ナショナルチームを離れてプロ宣言したこともあり、2回目優勝へのこだわりが増す中での準決勝進出だ。
一方、昨年2位の王懿律/黄東萍は、1ゲームも落とすことなく、準決勝へ勝ち上がった。準々決勝で、2人の最大のライバルである第1シードの鄭思維/黄雅瓊(中国・WR1位)がまさかの敗戦を喫し、2人の優勝のチャンスは広がっている。こちらも勝てば、2回目優勝。2017年以来の快挙になる。