1回戦 7月24日(水)の好カード
1回戦から各国のスターが激突!
来年、東京オリンピックのバドミントン競技の会場になる武蔵野の森総合スポーツプラザで、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」が、いよいよ始まった。東京五輪出場権レースさなかの開催で、例年より激戦になることは必至だ。2日目の24日(水)に行われる1回戦から選りすぐりのカードを紹介しよう!
男子シングルス①
林丹(中国)VS ヤン・ウ・ヨルゲンセン(デンマーク)
⦿対戦成績:林丹が9勝 ヨルゲンセンが5勝
「レジェンド林丹が16年ファイナリストと対戦」
オリンピックで2回優勝し、今大会も3度制したレジェンド林丹(WR14位)が、2016年のファイナリスト、ヤン・ウ・ヨルゲンセン(WR25位)と対戦する。
35歳と31歳というベテランの顔合わせだ。華やかなキャリアから、多くの人は林丹が圧勝してきたイメージを持つだろうが、ヨルゲンセンは林丹に通算5勝と善戦している。直近で対戦した昨年9月の韓国オープンでも敗れはしたが、ファイナルに勝負を持ち込み、やられっぱなしではなかった。今回の対戦も、勝利はどちらへ転ぶか分からない。
こんな意外なヨルゲンセンの強さの源は、泥臭さだ。2016年決勝では優勝したリー・チョンウェイ(マレーシア)の速攻をことごとくかわし、3ゲームまで粘った。
今でもヨルゲンセンのスタイルは変わらない。苦しそうに、しかしあきらめずに羽根を追う。かつてエースとしてデンマークを引っ張ったベテランのガッツは必見だ。
そんな長丁場が得意なヨルゲンセンに林丹もラリー戦で対抗するか。かつてはとんでもない破壊力で勝負をことごとくモノにしてきた林丹だが、ロンドン五輪の前後から攻守のバランスのとれたオールラウンダーへと変貌している。
とくに足をしっかり踏み込んで打つロブが絶品。4月のマレーシアオープンで2年ぶりにメジャートーナメント優勝を飾ったときも、ヘアピンとロブを巧妙に打ち分け、諶龍(中国)を翻弄していた。
コート四隅をしっかり使った打ち合いのなかで、どちらが先にポイントのきっかけを作るか、しっかり見極めてほしい。
⦿林丹
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男子シングルス②
伍家朗(ホンコン・チャイナ)VS コシット・フェトラダブ(タイ)
⦿対戦成績:コシット・フェトラダブが1勝
「昨年のファイナリストが再浮上を期す」
前回、世界ランク26位ながら、石宇奇(WR2位)、諶龍(WR4位)という中国2強を連破して準優勝したコシット・フェトラダブ(WR19位)が、昨年の再現を目指す。
昨年大会でブレイクを印象付けたが、その後は、10月のデンマークオープンと3月のインドオープンのベスト8が最高で、殻を破りきれずにいる。一方、他のタイ選手はこの1年間でじわじわと世界ランキングを上げることに成功。18位から21位の間にフェトラダブを含め3人のタイ選手がひしめき、激しい東京五輪出場権争いを繰り広げている。
そのためフェトラダブには「上位へ行かなければ」という危機感が滲む。昨年同様の結果を残せなければ、世界ランキングは大幅にダウンし、五輪レースで後れを取る。
そんなフェトラダブの1回戦の相手は、ホンコン・チャイナの伍家朗。2012年世界ジュニアの男子ダブルスで優勝し、速い球回しの展開を好む。「基本技術に自信がある」というフェトラダブは、クリアーやロブでコートを広く使ってチャンスを作るか。昨年のファイナリストは、東京五輪レースの生き残りをかけて戦いに挑む。
女子シングルス
プサルラ・V・シンドゥ(インド)VS 韓悦(中国)
⦿対戦成績:シンドゥが1勝
「銀メダリストが世界ジュニア2位と対戦」
リオ五輪の銀メダリスト、プサルラ・V・シンドゥ(WR5位)が、2017年世界ジュニア2位の19歳、韓悦(WR12位)と対戦する。
7月21日に終わったインドネシアオープンで準優勝し、疲労が残るシンドゥにとって伸び盛りの韓悦は、1回戦で当たるには怖い相手だ。この1年で世界ランキングを77位から12位へと上昇させ勢いがある。
プレーも魅力が多い。オーバーからもアンダーからもスライスをかけたひと癖ある球を多用し、対戦相手を翻弄する。全体的な印象は粗削りだが、非凡さを秘めている点は、かつてのシンドゥを思わせるものもある。シンドゥは179㎝からの破壊力あるショットで、韓悦を目覚めさせるのを阻止したいところだ。
また今年の注目は、ここ1、2年の世界ジュニア選手権で活躍した選手たちだ。17年女子シングルス優勝のグレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア・WR19位)、17年女子ダブルス優勝のベク・ハナ(韓国・WR24位)、18年女子ダブルス優勝の劉玄炫/夏玉婷(中国・34位)らがエントリーしている。
初日、初勝利を飾った女子ダブルスの松山奈未/志田千陽(WR12位)も2015年3位の実績がある。すでに敗れた選手もいるが、今大会ではパリ五輪世代にも注目してほしい。
男子ダブルス
ギデオン&スカムルヨ(インドネシア) VS
何済霆&譚強(中国)
⦿対戦成績:ギデオン/スカムルヨが4勝 何済霆/譚強が1勝
「守備のインドネシアか、攻撃の中国か」
ジュニア時代からペアを組み、昨年3位入賞を飾った21歳&20歳の何済霆/譚強(WR11位)が3連覇を狙うギデオン/スカムルヨ(WR1位)に全力で勝ちにいく。
この顔合わせを勧めるは、2ペアのプレースタイルがまったく違うからだ。有り余る若さを発散させるように中国ペアは攻め続け、インドネシアペアは徹底的にレシーブでかわす。それぞれ高いレベルの攻撃力と守備力を持つから試合はとてつもなくスリリングだ。
これまでの5対戦を振り返ると、1回目は中国ペアが勝ったが、残り4戦はインドネシアペアが勝っている。中国ペアは、インドネシアのレシーブに振り回され、最後にミスをおかすのがお決まりのパターンだ。中国ペアの一発は強烈だが、リズムがまだ単調で、インドネシアペアは相手のしたいことを読み切っているように見える。
今回、中国ペアは攻め続けることができるか。中国3番手からの脱却を狙う2人は、インドネシアペアに胸を借りる思いで1回戦に挑む。
⦿マルクス・F・ギデオン
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⦿ケビン・S・スカムルヨ
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女子ダブルス
金昭映&孔熙容(韓国)VS ポンナッパ&レッディ(インド)
⦿対戦成績:金昭映&孔熙容が1勝
「日本3強を破った韓国の3番手が登場」
今年5月のニュージーランドオープンで日本の3強、永原/松本、福島/廣田、髙橋/松友を連破して優勝した韓国の金昭映/孔熙容(WR13位)が登場する。対戦相手はインドのエース・ポンナッパ&レッディ(WR21位)だ。
日本ペアにしてみれば、やはり韓国ペアはここまで世界ランキングを上げてきたかという印象だろう。金昭映/孔熙容の1月の世界ランキングは60位。しかし積極的に声を出し、攻撃にこだわるスタイルは、これまで韓国に多かった粘り型のペアとまったく違う。いずれライバルになることは覚悟していたはずだ。
また、記憶している人は少ないだろうが、2017年大会で孔熙容は準優勝している。当時、20歳の孔熙容は、暫定的に組んだベテラン選手と決勝へ進出し、髙橋/松友と対戦した。このとき敗れはしたが、「パートナーから焦る気持ちを抑える方法などを学べた」と納得の表情を浮かべている。
韓国チームは引退目前の選手を若手と組ませることで成長を促すことが多く、孔熙容は指導者の期待に応えることで成長してきたというわけだ。また27歳の金昭映は、これまで世界で目立った成績は残していないが、5歳年下の新しいパートナーを得ることで、ようやくその攻撃力を生かせるようになった。
そんな韓国ペアとの対戦を前に、29歳のポンナッパが語る言葉はこうだ。
「接戦になるわね。ニュージーランドの結果は知らなかったから、韓国ペアをすごいなと思うけど、そのときと今では、いろいろ条件が違うから試合はどうなるか分からないわ。いずれにせよ、私は全力を尽くすだけね」
ポンナッパは別の選手と組んで、2011年世界選手権で銅メダルを獲得している。今回は25歳のレッディとともに、急上昇中の韓国を止めにかかる。
混合ダブルス
渡辺勇大&東野有紗(日本)VS 徐承宰/蔡侑玎(韓国)
⦿対戦成績:渡辺&東野が1勝 徐承宰/蔡侑玎が1勝
「1勝1敗。どちらが勝ってもおかしくない激戦になるか」
日本のエース渡辺/東野(WR3位)が、韓国の徐承宰/蔡侑玎(WR9位)と顔合わせる。渡辺と徐は今年22歳で、左利きなのも同じ。これまでの対戦成績は1勝1敗で激戦が期待できそうだ。
実績をより残しているのは日本ペア。昨年、権威ある全英選手権のチャンピオンに輝き、今年も準優勝を飾った。この1年、混合ダブルスの専任コーチの指導で混合ダブルスらしい戦略が身につき、すっかり世界のトップ5に定着した。
対する徐承宰/蔡侑玎は組み始めて約1年だが、フランスオープン2位などの成績で世界ランキングを9位まで上昇させている。伸びしろを残し、渡辺/東野との実力差は大きくない。
日本のファンが気がかりなのは、渡辺/東野が7月21日までのインドネシアオープンの1回戦を棄権したことだろう。東野は合宿中に傷めた右足首に違和感があり、「安全のため棄権しました」と説明する。ただ長期にわたるケガではないため、渡辺はインドネシアで「自分たちの国でしっかりといい成績を残したい」と今大会への意欲を語っていた。前回の3位を超えるべく、しっかり準備をして2人は1回戦に臨む。