大会の見所5 女子ダブルス注目選手
陳清晨&賈一凡(中国)
CHEN Qingchenチェン・チンチェン & JIA Yi Fan ジャー・イーファン
世界ランキング4位(6月25日付)
「日本に唯一対抗する好敵手」
昨年のダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2回戦が終わったあと、勝った陳清晨と賈一凡に「これまで目標としてきた選手や憧れの選手はいますか?」と尋ねると、少しはにかんでこう答えた。
「髙橋礼華/松友美佐紀ペアにずっと憧れていました」
中国には、偉大な歴史を築いてきたレジェンドが多いだけに意外な答えだった。2人にとってのアイドルは長年、日本のペアで、「技術の引き出しが多くて、ジュニアの頃からすごいな、すごいなと、2人の映像を繰り返し見てきました」と打ち明ける。さらに陳清晨は「だから、こうして同じ舞台で戦えることがうれしいんです」と付け加えた。
中国が世界をけん引する存在でなくなってから、もう6、7年経つ。女子ダブルスといえば、多くの人にとって強いのは日本というイメージだろうが、長年にわたり、いまの日本のような強さを見せつけてきたのは中国だ。
1982年に世界の表舞台に出てきたときから、トップを走り続けてきた。とくに女子ダブルスは、30年以上、中国が世界を席巻し、まともに対抗できるのは韓国だけという状況が続いた。しかし、ロンドン五輪が終わったあたりから、強さに陰が射しはじめ、2016年のリオデジャネイロ五輪の女子ダブルスは、はじめてメダルなしで終わった。
中国が圧倒的でなくなった理由は、一人っ子政策でハングリー精神のある選手がいなくなったため、中国出身の指導者たちが世界に散らばって技術を広めたためなど、様々な憶測が挙がっているが、どれも確たる証拠はない。
いずれにしろ陳清晨と賈一凡は、歴史上、初めて「一番ではない」中国を目の当たりにしてジュニア時代を過ごした。だから、おそらく自らにこう誓っただろう。「自分たちが一番になる!」。
そう思って当然の結果も残していた。2013年、15歳の陳清晨は別のパートナーと世界への登竜門、世界ジュニア選手権の女子ダブルス決勝戦に進出。このときは韓国ペアに敗れ銀メダルに留まったが、賈一凡と組みだした翌年からは2連覇している。
ゲームメイクのうまい陳清晨が、ネット前に立って司令塔になり、賈一凡の攻撃に繋げるのが勝ちパターンだ。勝っても負けても、「いい経験になった」と話し、対戦相手へのリスペクトを忘れない姿勢も、2人を強くしている要因になっている。
それだけの強さを誇る2人は、世界ランキング1位(6月25日付)の松本麻佑/永原和可那に4勝2敗、世界2位の福島由紀/廣田彩花に6勝6敗、髙橋/松友には5勝4敗と、日本と対等、もしくはそれ以上の強さを見せている。
ビッグトーナメントにも強い。2016年スーパーシリーズファイナルズ、2017年世界選手権、2018年アジア大会、2019年全英選手権と、トッププレーヤーならほしいタイトルの多くをすでに手中にし、手にしていないのはオリンピックのタイトルだけだ。1年後の東京オリンピックではますます強くなっていそうな気配もある。日本にとって最大のライバルは初優勝を目指し、来日する。
⦿陳清晨&賈一凡(中国)
■プロフィール
陳清晨/1997年6月23日(22歳)/164㎝65kg/右利き
賈一凡/1997年6月29日(22歳)/175㎝65kg/左利き
⦿RESULTS
'19全英選手権優勝
'18アジア大会優勝
'17世界選手権優勝