準々決勝 7月26日(金)の好カード
すべてが好カードの準々決勝から選りすぐりを紹介!
特別な才能を持ち、努力を重ねてきた者たちだけが足を踏み入れられる準々決勝。すべてが好カードといえるが、ここでは、選りすぐりの注目カードを紹介する。
男子シングルス
桃田賢斗(日本)VS アンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)
⦿対戦成績:桃田賢斗が8勝 ギンティングが5勝
「絶対に見逃すな! 桃田が警戒するスピードスターが登場」
世界の多くの人が楽しみにしている対決だ。日本のエース桃田賢斗(WR1位)が迎えるのは、インドネシアのエース、アンソニー・シニスカ・ギンティング(WR8位)。桃田が「ライバル」と断言している22歳だ。
ギンティングには8勝3敗と勝ち越しているが、強く存在を意識している。「これから一緒にトップ争いをしていく選手だし、試合を通し、自分の動きはまだまだ遅いなとか、いろいろ気づかせてくれる選手でもあります」。
桃田がこう語る通り、ギンティングの動きは速い。素早く動いて先手を打ち、連続攻撃を仕掛ける。年々、世界でラリーが高速化しているのは、ギンティングのような選手がいるからだ。
では、ギンティングは桃田をどう思っているか。ギンティングもライバルを尊敬する気持ちを持っている。「桃田は点差が離れていても絶対にあきらめない。自分もそうなりたいと思っています」。
このようにお互いを認め合う関係は好勝負を生む。バドミントンを国技とするインドネシアでも桃田-ギンティング戦は注目が高く、2人がワールドツアーで対戦することが決まると、「明日は"モモギ戦"! 楽しみ!」というツイートが飛び交うという。
"モモギ"とはもちろん、桃田の"モモ"と、ギンティングの"ギ"だ。
「そう呼ばれていることは知らなかったです(笑)。これからもっといい勝負をして、林丹とリー・チョンウェイ戦のように伝統の一戦と呼ばれるように頑張ります」(桃田)
7月26日(金)は、数々の名勝負を生んでくれそうな2人の物語を目撃できる日になる。
⦿桃田賢斗
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女子シングルス
山口茜(日本)VS プサルラ・V・シンドゥ(インド)
⦿対戦成績:山口茜が5勝 シンドゥが10勝
「インドネシアOP決勝の再現!」
インドネシアオープンの決勝戦を戦った山口茜(WR2位)と、プサルラ・v・シンドゥ(WR5位)が準々決勝で激突する。2人の初対戦は2013年で、顔合わせは今回で16回目になる。
これまではプサルラが勝ち越している。山口はライバルについて「以前は攻撃中心でしたが、最近はラリーで粘ってくるなど幅が広がっています。(179㎝と)背も高いので崩しにくい選手です」と分析している。これまでの敗戦の理由でもある。だが、インドネシアオープンでは、「リズムに乗せないことで勝つことができた」と歓喜の瞬間を迎えられた。
準々決勝はその経験を生かすつもりだ。「インドネシアオープンでよかったプレーを中心に組み立て、試合のなかで変化をつけたい」と山口。緩急をつけたショットで自分のリズムに引き込むつもりだ。
一方、「山口との対戦を楽しみにしています」と話すプサルラは、無心で臨むと明かしている。「もう互いのことはよく分かっているので、正直、こうしていこうという戦略はないんです。よい試合を見せられるようにベストを尽くします」。
明日は、ラリー力が勝つか、攻撃力が勝つかの攻防戦になりそう。しっかりと見届けてほしい。
男子ダブルス
李俊慧&劉雨辰(中国)VS 遠藤大由&渡辺勇大(日本)
⦿対戦成績:李俊慧&劉雨辰が2勝 遠藤&渡辺が3勝
「世界王者に飛躍中の遠藤&渡辺が挑む」
この1年で世界ランキングを35位から5位へと伸ばした遠藤/渡辺が、2018年世界王者の李俊慧/劉雨辰(WR2位)と対戦する。
世界ランキングで見れば挑戦者だが、勝ち越しているのは遠藤/渡辺だ。どのペアよりも広いコートカバー力で中国の猛打をレシーブしきってきた。4月のアジア選手権では「調子がよすぎた」と遠藤が振り返るほどのデキで中国ペアを下している。
逆に反省するのは5月のスディルマン杯の決勝だ。大一番に起用された遠藤/渡辺だが、一方的に猛打を浴びた。遠藤は「あの敗戦の原因を克服するために練習してきました」と振り返る。
中国ペアもスディルマン杯とアジア選手権のことをよく覚えている。
「僕らは試合の細部まで気を配れたときは勝てるし、それができないときはミスしてしまう。スディルマン杯とアジア選手権ではそれが両極端に出ました」(劉雨辰)
果たして準々決勝では、どちらが自分らしいスタイルを出すことができるか。そこをチェックしたらおもしろそうだ。
女子ダブルス①
永原和可那&松本麻佑(日本)VS 松山奈未&志田千陽(日本)
⦿対戦成績:永原&松本が1勝(国際大会)
「日本対決。世界女王にパリ世代が挑戦」
昨年、世界選手権を制した永原和可那/松本麻佑(北都銀行・WR2位)が、パリ五輪での活躍が期待される松山奈未&志田千陽(再春館製薬所・WR12位)の挑戦を受ける。
21歳の松山と22歳の志田は現在、日本の5番手。だが1回戦で日本4番手・田中志穂/米元小春(WR8位)をファイナルゲームで下し存在をアピールした。これまで「東京オリンピックの出場は厳しいかな」と思っていたが、世界トップで戦える手応えを得て、「東京にもこだわりたい」という気持ちが増している。
このように2人が力をつけたのは、約1年半前、所属チームのメンバーが大きく変わり、2人がエースを担う状況が生まれたためだ。「自分たちに本当に実力があるわけではないのにエースになって、意識を変えざるを得ませんでした」と志田は打ち明ける。
永原/松本とは6月のオーストラリアオープンで対戦し、ストレート負けを喫した。このとき、2人は世界王者のタッチの速さに面食らったというが、2ゲーム26-28まで粘ったことで、通用する部分も確認できたという。それは「スピード」だ。
松山/志田はアップテンポに動き、攻撃の手を緩めないスタイルで勝利を引き寄せる。大味な部分は残すが、元気よくネット前に突っ込んでいく姿は小気味いい。この対戦は2人のフレッシュさが見物。永原/松本が貫禄を見せる可能性が高いが、必死で食らいつくはずだ。昨年の世界女王が熱き松山/志田の挑戦をどうさばくかもチェックしてほしい。
女子ダブルス②
ポリイ & ラハユ(インドネシア)VS 金昭映&孔熙容(韓国)
⦿対戦成績:金昭映&孔熙容が1勝
「ニューカマーがインドネシアのエースに挑む」
韓国の3番手・金昭映&孔熙容と、インドネシアのエース、ポリー/ラハユ(WR5位)が対戦する。
2回戦、闘志を全面に出し韓国ペアは金星をつかんだ。2017年世界選手権優勝の陳清晨/賈一凡(WR4位)にファイナルで勝利。「中国ペアの打つ球は速いんですが、相手が仕掛ける前に先に仕掛けることができました」とペアを引っ張る金昭映は振り返る。
この結果に驚く人は多いが、決してまぐれではない。5月のニュージーランドオープンで、日本の3強、永原/松本、福島/廣田、髙橋/松友を連破して優勝。これによって2人は自信をつけ、「変わるきっかけをつかめました」(孔熙容)という。
そんな韓国ペアに、ポリー/ラハユは挑戦者の思いで挑む。前週のインドネシアオープンで韓国ペアにファイナルで敗れた。同じ轍を踏まないためにポリーは「2人のパワーをどう出させないようにするか、対策を練って臨むつもり」と明かしている。
"ノーロブ"を得意としているインドネシアペアは、韓国の攻撃をネット前へしっかり返してリベンジするつもりだ。
混合ダブルス
渡辺勇大&東野有紗(日本)VS チャン&ゴー(マレーシア)
⦿対戦成績:渡辺&東野2勝 チャン&ゴー3勝
「成長した日本のエースがリオ銀と激突!」
日本のエース・渡辺/東野(WR3位)が、リオ五輪の銀メダリスト、チャン/ゴー(WR5位)と対戦する。
世界ランキング3位と5位がぶつかる豪華な顔合わせだ。チャン/ゴーは2012年ヨネックスオープンジャパンの覇者で、今年、31歳と30歳を迎えたベテラン。混合ダブルスのお手本ともいえるプレーで、渡辺/東野がジュニアの頃からトップについていた先達だ。
チャンはここ1年で成長を遂げた日本ペアについて、「少し前まで混合ダブルスに慣れておらず、未熟さもあった。でも1年前、僕たちのコーチだった人が、彼らのコーチになったことで大きくステップアップした」と分析。そして、「僕らを細かいところまで見られるようになったね」と苦笑する。
こうチャンが困った顔を見せたのは、1年前まで負けなしだった渡辺/東野にここ最近2連敗しているからだろう。この結果も日本のエースが成長した証だといえる。ダイハツ・ヨネックスジャパンオープンでまだ日本選手が優勝したことはないが、渡辺/東野は頂点をめざし、準々決勝に挑む。