注目選手紹介9:日本女子ダブルス

日本最強=世界最強
「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」で女子ダブルス陣の強さを見極めよ!

8月上旬、中国・南京市で行われた世界選手権。女子ダブルスの表彰式で日章旗が3旗揚がった。

金メダルは松本麻佑/永原和可那(WR9位)、銀メダルは福島由紀/廣田彩花(WR1位)、銅メダルは米元小春/田中志穂(WR5位)の手に。強い日本を象徴する光景だった。

帰国後の記者会見で松本は日本活況の理由をこんなふうに明かしていた。

「リオ五輪で髙橋/松友ペア(WR2位)が金メダルを獲ったことが刺激になっている。普段の練習からトップレベルと戦っている自信がレベルアップに繋がっているんです」

つまり、松本は日常に高いレベルでの切磋琢磨があるから、日本が強くなっていると言っているのだ。2010年頃まで約30年間、世界を席巻した中国も同じ状況だった。

では、日本最強=世界最強であるという地図のなか、いま、4ペアがどんな立ち位置におり、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」に臨むのか分析していこう。

日本のパイオニア・髙橋&松友

いわずと知れたリオ五輪の金メダリスト。8月下旬、インドネシアで開催されたアジア大会で髙橋/松友は、銀メダルを獲得し、いまなおトップレベルにいることを印象づけた。

しかし、じつはアジア大会の約3週間前の世界選手権では、3回戦で松本/永原に13―21、15―21と惨敗を喫した。この一戦を振り返り、髙橋は「戦術ではなく、気持ちの問題」とモチベーション作りの難しさを口にした。

ところが、アジア大会ではそんな憂いは吹き飛んでいた。優勝こそならなかったが、中国ペアに22-20、22-20という惜敗で、「相手もよかったけど、自分たちも悪くなかった。もっとできることがあった気がするのに」と松友は悔し涙を流した。

この涙は、2人の闘志が決して消えていないことを意味している。そして、リオ五輪で見せた力も失っていないのだ。

「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」では、2年連続3回目の優勝がかかる。最初の山場になりそうなのは松本/永原と当たる準々決勝だ。

世界ランキング1位で安定した実力を持つ福島由紀&廣田彩花

8月30日現在、世界ランキング1位。2人はわずか1年半で頂点に駆け上がった。

じつは、福島/廣田は、2017年に日本A代表に昇格したばかり。しかし、同年4月のマレーシアオープンで髙橋/松友を破ってスーパーシリーズ(ワールドツアー前身)を初制覇すると、世界選手権(8月)、スーパーシリーズファイナル(12月)と、権威ある大会で準優勝した。

そして、今年になっても快進撃は止まらず、今年7月、遂に世界ランキング1位に就いた。さらに世界選手権で準優勝、アジア大会でも3位と引き続き上位をキープし、日本選手のなかで最も安定した力を見せている。

ただし、ビッグトーナメントであと一歩、優勝に届かないのが2人の課題だ。

前回の「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」は準決勝で髙橋/松友に敗れて3位。しかし、第1シードで臨む今年は決勝まで日本ペアと当たらない幸運に恵まれている。25歳&24歳ペアは「今年こそ優勝」と気持ちを高めている。

2018年でもっとも飛躍した松本麻佑&永原和可那

日本の4番手から一気に飛躍した松本/永原ペア。世界選手権で第1回大会以来、41年ぶりに日本に金メダルをもたらした。日本A代表のうち、もっとも目立たなかった松本/永原がやってのけた偉業は、日本のみならず、世界のバドミントンファンも驚かせた。

同じ学年で北海道出身という共通点がある2人。松本が177センチ、永原が170センチと長身なのも同じだ。ただ、高校進学の際、永原は北海道を出て青森山田高へ入学。松本は地元に残って、2人はなかなかつながらなかった。

しかし、やっと線になったのは高校卒業後だ。永原が、2013年のインターハイ・ダブルスで優勝し、松本もベスト8と好成績を残したあと、ともに秋田にある実業団チーム北都銀行に入行した。

そこから3年間は、ゆっくりと階段を上った。2015年から2年続けて日本一を決める全日本総合で準々決勝に進出したあと、昨年は3位。そして2018年、やっと日本A代表に選ばれたのだ。

ここからの成長は早かった。冒頭、話したように高いレベルで練習することで、才能を一気に開花させ、世界で勝ち抜くコツをつかむ。いまや日本一、いや世界で最も勢いがあるペアになっている。

「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」では、その角度ある攻めを武器に初優勝を目指す。

松本は「ジャパンオープンはいつも1回戦負け。今年はそこを考えすぎず、自分たちのプレーを最大限発揮したい」と力強く宣言。世界女王のプレーを楽しみにしていてほしい。

配球で勝負する米元小春&田中志穂

松本と同じく米元/田中は青森山田高を卒業した。高校時代、ペアを組んだことはないが、法政大を田中が卒業したあと、2014年から北都銀行でペアを結成。2017年に日本A代表入りし、世界では昨年のスーパーシリーズファイナル優勝で、その名を広めた。

2人の持ち味は、田中がいう「一発で決められるパワーはないぶん、配球力で勝負できる」ところ。その技術の高さは、世界選手権で銅メダルを獲得したことでも証明済みだ。3月の全英選手権でも3位に入っている。

ただ、世界選手権、全英選手権で敗れた相手は福島/廣田ペア。日本ペアが大きな壁になっている。いま、日本のライバルたちをどう攻略するかが、二人の課題なのだ。田中は率直に「今年、いい結果がないので、少し焦っている」と打ち明けており、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」では、停滞気味の状況に風穴を空けるべく戦う。

⦿髙橋礼華のプロフィールはココでチェック!
https://www.unisys.co.jp/com/sponsors/badminton/team/w/takahashi.html
⦿松友美佐紀のプロフィールはココでチェック!
https://www.unisys.co.jp/com/sponsors/badminton/team/w/matsutomo.html

⦿米元小春/田中志穂、松本麻佑/永原和可那のプロフィールはココでチェック!
http://hokutobadmintonclub.jp/