注目のカード
決勝 9月16日(日)

男子シングルス 11:30開始予定
桃田賢斗(日本)VS コシット・フェトラダブ(タイ)

⦿対戦成績:桃田が2戦全勝

2016年から1年半の出場停止処分を受け、復帰後、世界ランク282位から這い上がり、8月の世界選手権で優勝した桃田賢斗(WR4位)。準決勝では、同じ24歳で昨年、世界ランキング1位に到達したビクター・アクセルセンを下し、対戦成績を9勝2敗とした。

「最近、周りから勝てるだろうという雰囲気を出されるので、そのなかで試合をするのはプレッシャーだった(苦笑)。ビクターから研究されていることも感じました。(他の選手からも研究され)このままだとつかまって勝てなくなるので、しっかり対策していきたい」 世界王者となり、桃田はすっかり追われる立場となったのだ。

そんな桃田が決勝で迎えるのは、タイのニューカマー、コシット・フェトラダブ(WR26位)。桃田、アクセルセンと同じ24歳だ。1回戦で世界選手権銀メダルの石宇奇(WR)、3回戦でリオ五輪金メダルの諶龍(WR7位)を下し、"中国キラー"と化した。準決勝で勝った瞬間、胸の前に両手を合わせ、自身初のSuper750での決勝進出を喜んだ。

「もともとスキルはあったのですが、フィジカルに課題があったんです。でも、体力を強化し、今回、すっかり変わりました」というのはタイのコーチだ。

桃田とは、2011年と2012年のアジアジュニア選手権(U19)で対戦したことがある。2012年大会で桃田は優勝し、同年、世界ジュニア選手権も制した。以来、フェトラダブにとって桃田は見上げる存在だ。だから、「桃田選手があこがれだった」という言葉に嘘はない。「桃田選手は世界王者ですから、私は一つひとつのラリーを工夫し、丁寧にやるだけです」(フェトラダブ)

日本男子初優勝がかかる桃田は、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープンというジュニア時代からのあこがれの舞台で、努力や成長をファンの方々に見せられるように頑張りたい」と誓っている。

ジャンピングスマッシュを駆使するダブルス的なプレーをするフェトラダブとは、速い展開の試合になりそうだ。




女子シングルス 14:30頃開始予定
奥原希望(日本) VS キャロリーナ・マリン(スペイン)

⦿対戦成績:奥原希望が6勝4敗

準決勝での日本人対決を制した奥原希望(WR8位)が、リオ五輪の金メダリスト、キャロリーナ・マリン(スペイン・WR6位)と激突する。ここ2年の世界選手権タイトルホルダー同士の戦いとなる。

今年の世界選手権を制したのはマリンだ。リオ五輪後、マリンはケガもあり目立った成績を残していなかったが、「今年は世界選手権のタイトルをとる」と宣言したとおり、3回目Vを決めてみせた。奥原からは7月のインドネシアオープンでのマリンは不調に見えたが、「世界選手権では仕上げてきて、さすがだと思った」と脱帽している。

今大会でも2連覇を狙いにきたマリンは「1週間しか練習できなかった」と話したにも関わらず絶好調。多くの選手が、会場の影響で球を決めきるのに苦労しているなか、力強いプッシュやスマッシュを連打し、強肩を見せつけている。

「今回、マリン選手はフィジカル、メンタルが充実しています。とくに動くスピードが速く、明日はしっかりスピードについていかなければ」と奥原は警戒する。

とはいっても、2015年以来、3年ぶり2度目の優勝をねらう奥原も試合ごとに調子を上げている。準決勝以降は、「体育館に慣れ、仕掛けるタイミングなどが分かってきた」。決勝では、頭に叩き込まれたあらゆるデータを駆使し、現・世界女王に挑む。

「奥原はファイターだし、長いラリーになるはずだから接戦を覚悟して全力で挑むわ」1年ぶりの奥原との対戦が楽しみだというマリンからのメッセージである。




男子ダブルス 15:30頃開始予定
マルクス・F・ギデオン/ケビン・S・スカムルヨ(インドネシア)VS 李俊慧/劉雨辰(中国)

⦿対戦成績:ギデオン/スカムルヨが7勝1敗

「ここはインドネシアか!?」
準決勝、インドネシアの至宝・ギデオン/スカムルヨ(WR1位)と、中国の3番手・何済霆/譚強(WR19位)の対戦、バドミントンに国技の誇りを持つインドネシアファンの熱い声援が響いた。

2ゲーム目をインドネシアペアがとられると、サポーターの叫びはいっそうヒートアップし、ギデオン/スカムルヨは集中力を取り戻して逆転。相手の裏をかくあざやかなフェイントを連続し、見事な勝利を飾って見せた。決勝戦は、同じ中国でもさらに強い世界選手権優勝の李俊慧/劉雨辰(WR1位)が相手で、会場はさらに熱くなりそうだ。

中国ペアは2016年の本大会でスーパーシリーズ(ワールドツアー前身)初優勝を果たし、この1年で頂点に駆け上がった23歳。だからギデオン/スカムルヨは「あらゆる面で準備が必要な相手。準決勝の中国ペアより経験、パワーが上だから」と試合が簡単でないことを示唆している。これまでの対戦成績はインドネシアが7勝1敗としているが、毎回のように試合は接戦なのだ。

中国ペアは、僅差でなかなか勝てないことを悔しがる。
「とにかくインドネシアペアはパワーとスピードがすごい。コンビネーションも安定。なんとか突破口を見つけて勝ちたいです」中国ペアの持ち味は195センチ&193センチからの角度ある攻撃。決勝戦は鋭角スマッシュが、トップ&バックに徹するインドネシアの陣形を崩せるのかに見どころがある。どちらが勝っても2回目の優勝になる。




女子ダブルス 12:30頃開始予定
福島由紀/廣田彩花(日本) VS 陳清晨/賈一凡(中国)

⦿対戦成績:福島/廣田が8勝5敗

世界ランキング1位の福島/廣田が8月のアジア大会の個人戦・準決勝で敗れた悔しさを晴らしに行く。8月、東京五輪の前哨戦と言われるアジア大会のタイトルを期待された福島/廣田だが、中国の陳清晨/賈一凡(WR2位)に敗れ、銅メダルに留まった。この一戦について廣田が「相手は前へ前へと詰め寄るのが速かった」といえば、福島は「レシーブできず、攻め切られてしまった」と悔しがる。

世界ランキング1位の福島/廣田は追われる立場となり、中国は2人の勝ちパターンを研究するようになったのだ。陳清晨/賈一凡も徐々に福島/廣田に接近しており、この1年の対戦成績でいえば、2勝1敗と勝ち越している。

陳清晨/賈一凡がこの1年で成長した点は「戦術面の幅が広がったこと」だという。厳しい場面を切り抜けるための引き出しが増え、さらにハードなトレーニングで体をしぼり、すっかり筋肉質の体になった。「福島/廣田はオールラウンド型でとにかく頑強。2人から学ぶつもりで決勝に臨むつもりです」と語るのは、ネット前で司令塔を務める陳清晨だ。

初の決勝を前に福島/廣田も「決勝にふさわしい、いい試合をしたい」と気持ちを高めている。おそらく明日もこれまでのように長い試合になるはずで、どちらが我慢しきれるかが最大の見物だ。




混合ダブルス 13:30頃開始予定
鄭思維/黄雅琼(中国)VS王懿律/黄東萍(中国)

⦿対戦成績:鄭思維/黄雅琼が5戦全勝

決勝は世界ランキング1位と2位がぶつかる最高のカードとなった。世界選手権決勝の再現となる明日は中国決戦。世界&アジア王者の称号を手にしたばかりの鄭思維/黄雅琼(WR1位)が、昨年、優勝した23歳ペア王懿律/黄東萍(WR2位)の挑戦を受ける。

準決勝で鄭思維/黄雅琼と戦ったマレーシアペアは、世界を席巻する中国ペアの強さを「多くの人材のなかから、最高の組み合わせを模索できるところ」と分析している。鄭思維は2016年に女子ダブルスの陳清晨と優勝したが、昨年11月から黄雅琼を新たなパートナーに迎え、1年経たずに世界ランキング1位に駆け上がった。鄭思維と黄雅琼は、中国が探し出した究極の組み合わせなのかもしれない。21歳と若い鄭思維は「試合中、反省点があれば、お互い口にしなくてもすぐに修正できるのがよいところ」と2人の強みを説明している。

一方、世界ランキング2位の王懿律/黄東萍も中国にとって混合ダブルスの完成形と言えっていいだろう。どちらも様々な選手と組みながら、2人に落ち着き、2017年の1年間で世界ランキングをトップ10内に上げた。鄭思維/黄雅琼は王懿律/黄東萍を「オールマイティーなプレースタイル」といい、王懿律/黄東萍は鄭思維/黄雅琼を「学ぶべき点が多い存在」だと打ち明ける。対戦成績は鄭思維/黄雅琼が5戦全勝。王懿律/黄東萍はこのまま負けっぱなしでいたくはないだろう。挑戦者側が昨年のチャンピオンなのだから、おのずと明日の試合はレベルが高くなる。



※選手の棄権、試合状況などにより開始予定時刻が早まる可能性があります。