注目のカード
1回戦 9月12日(水)

男女ダブルスを実施
スタートから全力必至の真剣勝負

これまでトップ選手が出場する各国のトーナメントは、スーパーシリーズというシステムが採用されてきたが、今年から「ワールドツアー」に生まれ変わった。

Super500と同等だった「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」は今年からSuper750へと格がアップ。それにともない、大会は予選なしの1回戦からスタートする狭き門となった。

そんな大会の12日(水)は、男女ダブルスの1回戦が行われる。このなかで選りすぐりの好カードを紹介しよう!

男子ダブルス① アフター5 17:00以降開始
マルクス・F・ギデオン & ケビン・S・スカムルヨ(インドネシア) VS 
ウラジミール・イワノフ & イワン・ソゾノフ(ロシア)

⦿対戦成績:ギデオン/スカムルヨが4勝

試合に"絶対"はないが、世界ランキング1位のギデオン/スカムルヨが勝つ可能性が高い。にもかかわらず、この対戦に注目してほしい! と声を大にして言いたいのは、イワノフ/ソゾノフ(WR15位)の試合がおもしろいからだ。こんなプレーは「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」でなければ、絶対に見られない。

まず、国内でイワノフ/ソゾノフのようなプレーが見られないのは、これだけ長身のトッププレーヤーが日本にはいないという明らかな理由がある。イワノフが197センチ、ソゾノフが184センチ。2人がコートに立つだけで壁のようだ。

それだけに背の高さが逆に"動きづらさ"という弱点になりそうなものだが、ドライブ戦などで腕を思いきり伸ばして、手首だけでハエを叩くようにシャトルをさばき、不器用さは感じられない。羽根をとらえる位置がネット寄りだから、相手に返るのも早いのだ。もちろん、ひとたび球があがってくれば、イワノフが3メートル以上の高さから、とんでもない鋭角のショットを放つ。

そんなプレーのよさが炸裂したのは、2016年の全英選手権で、日本の早川/遠藤を下して優勝した。昨年の今大会でも、日本の園田/嘉村と準々決勝で当たり、24-26、22-20、21-19という66分の大激戦で勝った。「こんな試合、いままで見たことがない!」という既視感のないおもしろい一戦だった。

今回もフェイントを連続させる世界ランキング1位に対し、イワノフ/ソゾノフは個性的な試合を見せてくれるだろう。8月の世界選手権でも敗れはしたが、1ゲーム目19本と健闘している。もし今回、"健闘"だけでなく、イワノフ/ソゾノフが勝つシーンを見られたら、貴重な一戦を見たと自慢できるはずだ。

⦿ギデオン&スカムルヨ
■プロフィール・使用ラケットはココでチェック!
http://www.yonex.co.jp/badminton/players/post-29.html
http://www.yonex.co.jp/badminton/players/post-30.html


男子ダブルス② 14:30頃開始
劉成/張楠(中国) VS 保木卓朗/小林優吾(日本)

⦿対戦成績:劉成/張楠が2勝

日本A代表の保木/小林(WR20位)が中国の劉成/張楠(WR4位)に挑戦する。

攻撃型のペアが多い中国だが、このペアはレシーブから勝機を探る守備型だ。とくにロンドン五輪の混合ダブルス、リオ五輪の男子ダブルスの金メダリスト・張楠は配球が巧み。世界の厳しい攻撃を「ありえない!」と言いたくなる方向へ返す。相手が球に追いつくのを遅らせ、ロブを上げさせるのだ。直近では世界選手権で銅メダルを獲得するなど、コンスタントに上位へ進出している。

そんな中国ペアに挑む保木/小林は所属チームの先輩である園田/嘉村同様、ノーロブスタイルだ。保木が司令塔としてネット前に立ち、小林の強打を引き出す。勝ちパターンが"ハマった"ときの波状攻撃は圧巻だ。

ただ、今年に入ってから参戦した大会すべてで準々決勝進出ならず、保木は「壁にぶつかっている」と打ち明ける。それだけに、ホームの力をバックにどれだけ思いきり2人らしいプレーを出せるか。

難敵を相手にJAPANのサムライは、1回戦から全力でぶつかる。


男子ダブルス③ 12:30頃開始
遠藤大由/渡辺勇大(日本)VS
  ヘンドラ・セティアワン/モハマド・アッサン(インドネシア)

⦿対戦成績:初対戦

遠藤/渡辺の14位。セティアワン/アッサンは17位。世界ランキングで見れば、実力は拮抗しているが、キャリアはインドネシアペアがはるかに上をいく。

13年、15年と2度世界選手権を制し、セティアワンにいたっては08年の北京オリンピックでも優勝。出場参加ペア中、もっとも輝かしい実績を誇る。セティアワンが34歳、アッサンが31歳とベテランになったが、7月のシンガポールオープンで優勝するなど、いまなお侮れない力を持っている。同じインドネシアのギデオン/スカムルヨのような派手さはないが、ミスの少ない手堅いプレーが持ち味だ。

一方、遠藤/渡辺にとって好材料は、遠藤がリオ五輪の際、早川賢一とのペアでセティアワン/アッサンを撃破していることだ。大舞台で当時の優勝候補を下したことは、遠藤の競技者人生のなかで会心の一戦となっている。

渡辺とのペアでセティアワン/アッサンと試合をするのは初。ベテラン突破のカギは、21歳の渡辺がどれだけ元気よく立ち回れるかだろう。渡辺らしい速攻で"老練さ"を突破してほしい。

女子ダブルス① 15:30頃開始
福万尚子/與猶くるみ(日本)VS
  ガブリエラ・ストエヴァ/ステファニ・ストエヴァ(ブルガリア)

⦿対戦成績:G・ストエヴァ&Sストエヴァが1勝

ブルガリア生まれの華ある姉妹ペアが福万/與猶(WR15位)の1回戦の相手だ。

ガブリエラ・ストエヴァ/ステファニ・ストエヴァ(WR13位)は、姉のガブリエルが24歳、ステファニが22歳。姉が10歳、妹は9歳のときにバドミントンを始めた。

その存在価値は、2人がアジアに切り込める唯一のヨーロッパペアになっていることにある。今回参加している28ペア中、欧米のペアはわずか4ペアで、そのうちもっとも世界ランキングが高いのが、ストエヴァペアだ。リオ五輪の決勝で日本の髙橋/松友が戦ったリター・ユール/ペダセンがペアを解消したいま、欧州からの期待は推して知るべしだろう。

対して福万/與猶は、日本の6番手。2015年には世界選手権で銅メダルを獲得したことがある。リオ五輪の出場は惜しくも逃し、東京五輪の出場をめざし、再チャレンジの途上にある。

ストエヴァ姉妹とは、2回目の顔合わせとなる。2016年のドイツオープンで当たった際は、ファイナル18本の惜敗だった。今回はそのリベンジなるか。福万がネット前で切り込み、與猶が叩き込む形をしっかり作り初戦を突破して、少しでも他の日本ペアに追いつきたいところだ。


女子ダブルス② 10:00頃開始
米元小春/田中志穂(日本)VS 湯金華/于小含(中国)

⦿対戦成績:初対戦

世界選手権で銅メダルを獲得した米元/田中(WR5位)が、中国の湯金華/于小含(WR29位)を迎え撃つ。

26歳&23歳ペアは今年2月から試合に出始めた。于小含は、黄雅琼とのペアで世界ランキング14位として世界選手権にも出場したが、今後は湯金華と組んでいくのではないかと見られている。USオープン優勝など、着々とキャリアを積んでおり、来年の春から始まる東京五輪出場レースで好位置につくことがまずは目標だ。

米元/田中は、黄雅琼/于小含に対して2勝をおさめており、湯金華/于小含についても心配は多くない。しかし、中国ペアは、いったんリズムに乗せると攻撃を止めにくいペアが多く、決して侮ってはいけない。しっかりレシーブして配球で勝機を探る2人のスタイルを忘れず、初優勝の足掛かりにしたい。



※選手の棄権、試合状況などにより開始予定時刻が早まる可能性があります。