注目のカード
1回戦 9月11日(火)
男女シングルス&混合ダブルスを実施
1回戦からスターたちが登場する
これまでトップ選手が出場する各国のトーナメントは、スーパーシリーズというシステムが採用されてきたが、今年から「ワールドツアー」に生まれ変わった。
それにともない、Super500と同等だった「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」は今年からSuper750へと格がアップ。予選なしの1回戦からスタートする狭き門となり、レベルの高い試合が初日から見られるようになった。
第1日目の11日(火)は、男女シングルスおよび混合ダブルスの1回戦が行われる。このなかで選りすぐりの好カードを紹介しよう!
※選手の欠場等により以下でご紹介しております試合がおこなわれない場合もございます。あらかじめご了承ください。
■男子シングルス①
伍家朗(ホンコンチャイナ) VS アンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)
⦿対戦成績:伍家朗が4勝2敗
第8シードの伍家朗(WR11位)とアジア大会3位のアンソニー・シニスカ・ギンティング(WR10位)が激突する。
これまでの対戦成績は、伍家朗が4勝2敗とリード。しかし、2017年11月以来、2人は対戦しておらず、この数字が現在の力関係を正確に示しているとはいえない。
伍家朗にしてみれば、21歳のギンティングは勢いのある怖い相手になりつつある。8月下旬のアジア大会で世界王者・桃田賢斗を下す金星を挙げ、銅メダルを獲得。9月に入ってからは世界ランキングも伍家朗を抜いた。これ以上、波に乗らせたくないというのが率直な思いだろう。
逆にギンティングには、今大会で上位へ進出し、アジア大会の銅メダルがまぐれでないことを証明したい思いがある。そのために伍家朗は、必ず越えたい最初の山なのだ。
ゲーム内容としておもしろそうなのは、スピード戦が期待できるところ。伍家朗は2012年の世界ジュニア選手権のダブルスで優勝したことのあるスピードスター。一方、ギンティングはアジア大会でドライブを有効に使い、ダブルス的な球回しのうまさが光らせた。
速い展開に自信を持つ両者のどちらに軍配があがるか注目だ。
■男子シングルス②
周天成(チャーニーズ・タイペイ)VS 常山幹太(日本)
⦿対戦成績:周天成が1勝0敗
世界選手権8強と、伸び盛りの22歳、常山幹太(WR19位)がチャイニーズ・タイペイのベテラン周天成(WR5位)に挑戦する。
周天成は速射砲のドライブと、タッチの速いネットプレーで好機を生みだし、アジア大会で銀メダルに輝いた。これまで上位常連とはいえ、大きなタイトルやビッグトーナメントでのメダルに縁がなかった28歳が、ようやくワンランク上に上がった格好だ。
そんな周天成に常山は1年ぶりに対戦する。昨年、「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」で対戦した際は、14本、11本と完敗だった。じっくりラリーして、まわし勝つのが得意な常山だが、ラリーに持ち込む前に打ち切られている。
今回の対戦では、常山がラリーに持ち込めるかが勝敗を分けるキーとなる。昨年と異なるのは、常山が「守りだけでなく、攻めのプレーもできるようになっている。だから、よりラリーする形が生きるようになっている」と話している点だろう。
ネット前ですばやく球を奥に送り、相手を追い込んだあと、さらに苦しめるべくラリーを続ける。
「自分にはくそねばりしかないので、これを貫きたい」
常山が忍耐の光るラリーを披露していたら、そのときは拍手で応援してあげてほしい。
⦿周天成
■プロフィール・使用ラケットはココでチェック!
http://www.yonex.co.jp/badminton/players/post-21.html
■女子シングルス①
プサルラ・V・シンドゥ(インド)VS 髙橋沙也加(日本)
⦿対戦成績:互いに2勝2敗
日本を代表する左腕の攻撃型・髙橋沙也加(WR13位)が、世界一の攻撃型・プサルラ・V・シンドゥ(WR3位)と顔合わせする。
じつは髙橋は現在、ナショナルB代表。2017年はA代表として活動していたが、昨年の全日本総合は2回戦敗退でA代表入りならなかった。それでも希望を失わず、海外の転戦を続け、7月のシンガポールオープン(Super500)で優勝。世界ランキングを山口、奥原に続く3番手の13位を確保することに成功している。
そんな髙橋の持ち味は、ドリブンクリアーを多用したテンポのいい攻撃だ。相手が速い球回しに追いつけなくなったときを見計らって、するどくスマッシュを見舞う。そんなプレーが奏功し、リオ五輪&世界選手権の銀メダリストという栄えある肩書きを持つシンドゥに対しても2勝2敗と対戦成績は拮抗している。
ただ、シンドゥに勝ったのは、シンドゥがブレイクするリオ五輪前。リオで銀メダルを獲得後、揺るぎない強さを備え始めた23歳には、髙橋が挑戦者という立場になる。
ではシンドゥのどんなところが強いのか。いまのシンドゥは、179センチから見舞うスマッシュだけでなく、相手の攻撃をかわせるレシーブ力が備わっているところが違う。したがって、髙橋がよほどの好機を作らない限り、攻撃は決まらないはずだ。
攻めたい髙橋がシンドゥの攻撃をかわしつつ、どうチャンスをつくるか。見所はそこにありそうだ。
⦿プルサラ・V・シンドゥ
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■混合ダブルス①
クリス・アドコック&ガブリエル・アドコック(イングランド)VS 鲁愷&陳露(中国)
⦿対戦成績:初対戦
アドコック夫妻が世界ランキング7位なのに対し、鲁愷/陳露はなんと世界ランキング80位。それでもこのカードを勧めるのは、中国ペアのポテンシャルの高さゆえだ。
鲁愷/陳露のうち、次期エースとして期待されているのは、20歳の陳露のほうだ。2015年、世界への登竜門・世界ジュニア選手権で優勝したことがある。今後、このペアで続けていくかは未知数だが、いまは191センチのスマッシャー鲁愷と組ませ、世界の雰囲気を肌で感じるようにと、仕込まれている最中に見える。
中国の混合ダブルスは、とかく男子が機械のように打ち続ける選手が多く、鲁愷は歴代のミックス男子の典型的なタイプだ。昨年は別のパートナーと第1シードで出場している地力もある。新ペアとしては、7月のタイオープンで日本のエース渡辺/東野も下しているのも見逃せない点だ。
対するアドコック夫妻は、穴を作らないように丁寧に話し合いながら、2人のダブルスを作り上げてきた。だから、もちろん順当に行けばペア歴の長いイングランドペアが勝つはずだが、もし中国ペアが勢いに乗れば、熟練したイングランドの"守り"をも打ち崩す破壊力がある。
そのときが訪れるのか否か。しっかりと見届けてほしい。
■混合ダブルス②
渡辺勇大&東野有紗(日本)VS ニピッフォン・ファウングファペット&サヴィトゥリー・アミトラパイ(タイ)
⦿対戦成績:初対戦
日本のエース、渡辺/東野(WR13位)が、今年は権威ある全英選手権のチャンピオンとして今大会に臨む。昨年の後半、思うように結果が出せなかったが、今年はコンスタントに上位へ進出。優勝こそ全英だけに留まっているが、混合ダブルスの専任コーチを得て、「混合ダブルスの考え方のエッセンスを加えてもらっている」という成果を出している。
そんな2人の1回戦の相手は、タイのファウングファペット/アミトラパイ(WR73位)だ。タイペアがこの組み合わせで大会に出場するのは、6試合と経験値は少ないが、8月にはベトナムオープンで初優勝を飾っている。
2年前の今大会で、渡辺/東野は、別のパートナーと組んでいたアミトラパイと1回戦であたっている。このときはファイナル勝負で勝ったものの、しぶといところを見せられた。
これまで「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」で2回戦止まりの渡辺/東野にとって、子どもの頃からの憧れだったこの大会で結果を出したいという気持ちは強い。
初めての体育館での1回戦は、どの選手にとってもやりにくいため、波乱が起きやすい。全英王者として受けて立つ2人が、難しい1回戦を乗り切れるかチェックしてほしい。