観戦記事
9月13日(木)2回戦

男子シングルス

大きな壁、西本拳太力及ばず

ビクター・アクセルセン(デンマーク) 21-13 / 21-17 西本拳太(トナミ運輸)

西本拳太は二回戦、世界ランキング1位のビクター・アクセルセンに挑んだ。

第1ゲーム、立ち上がりは高いロブやハイクリアなどコートを広く使った試合展開となる。先に動いたビクター・アクセルセンの194㎝の長身から繰り出されるスマッシュを西本が粘り強くレシーブして11-6とリードを奪う。しかし、ペースを上げたビクター・アクセルセンの猛攻に西本は我慢しきれず、一気に7連続ポイントを奪われてしまう。俄然勢いに乗ったビクターは攻撃だけでなく守備でも西本を寄せ付けない。西本が渾身のプッシュを放つもビクター・アクセルセンにレシーブされるなど、13-21でこのゲームを落とす。

第2ゲームは14-14までは一進一退の攻防を繰り広げられるが、これぞ世界ランキング1位と言わんばかり、ビクター・アクセルセンのショットはどれも完成度が高く、勝負所の嗅覚に優れ、西本の必死のアタックを冷静に対応していく。結局は17-21で奪われてしまう。

試合後西本は「長いラリーで攻め急いでしまった。点数的にも実力の差が出た試合だったと思う。また一つ一つ頑張りたい。」と話した。




エース桃田、崩れることなくラリー戦を制す。

桃田 賢斗(NTT東日本) 21-16 / 21-18 ラスムス・ゲンケ(デンマーク)

日本のエース桃田賢斗はデンマークのラスムス・ゲンケと対戦した。

第1ゲーム、絶妙なドロップを交えたラリーで相手を翻弄する桃田は甘く上がった球を確実に決めていく。ラスムスは長い手足で懸命にラリーを続けるも、最後は桃田のコースを狙った鋭いショットをレシーブすることができない。桃田は堅調な試合運びでインターバルを11-2で迎え、中盤こそ少しミスが続く場面があったが、21-16と危なげなく1ゲーム目を制す。

第2ゲーム、桃田のショットはさらに冴え渡り、ライン際に次々とスマッシュを突き刺していく。ラスムスの必死の反撃にも冷静に対処し、得意のネット前から自らが攻撃する形に持ち込んだ。しかし、ラスムスも次第に桃田の配球に対応し、強打をねじ込んで追い上げ、一時12-11逆転する。それでも終盤の勝負所、会場全体の応援を受けて奮い立った桃田が、スピードを上げて一気に4連続得点を奪い再び優位に立つと、ラスムスの追撃を振り切って21-18で第2ゲームを奪った。

試合後に桃田は「1ゲーム目、前半に飛ばしすぎて後半気が緩んでしまった。明日はリン・ダンとの対戦になる。貪欲に勝ちを狙って行く。」と今日の反省点とともに明日への意気込みを語った。




女子シングルス

日本人対決、制したのは奥原

奥原 希望(日本ユニシス) 21-10 / 21-14 佐藤 冴香(ヨネックス)

今大会初となる日本人対決に会場が注目した。

第1ゲーム序盤、佐藤の繰り出すバックバウンダリー際へのクリアや、思い切ったクロススマッシュが奥原を押していた。しかし、巧みなドロップで佐藤を動かしミスを誘った奥原が徐々にリードを広げ、11-8でインターバルを迎える。ゲーム後半は完全に奥原ペースで試合が進み21-10と大差で奥原が1ゲーム目を先取した。

第2ゲームはさらにスピードを上げた奥原がロブとドロップで相手を揺さぶって、空いたスペースにスマッシュを決めていく。後半、奥原の早い展開に我慢しきれなかった佐藤はサイドアウトを連発してしまい、21-14で奥原が勝利を手にした。

順調な勝ち上がりを見せた奥原は試合後、「自分のパフォーマンスは徐々に上がってきている。全力のプレーで応援してくれる家族や友人に恩返しをしたい。」と、確かな手ごたえと決意を語ってくれた。




魅せた山口、満点でなくとも堂々の勝利を掴む

山口茜(再春館製薬所) 21-18 / 21-19 カイ・ヤンヤン(中国)

今年4月に日本女子シングルス初の世界ランキング1位を経験した山口茜が、中国のカイ・ヤンヤンと対戦した。

第1ゲーム序盤、動きに硬さの見られた山口だが徐々に普段の素早い動きを取り戻す。加えて男子選手にも劣らぬダイナミックなダイビングレシーブを決め会場を沸かせる。山口はゲーム中盤まで相手にリードされていたが、後半一気にペースを上げ、緩急のあるカットを巧みに打ち分けて21-18と逆転で第1ゲームを先取した。

第2ゲームも第1ゲームと同様激しい競り合いとなった。その中でも山口はトリッキーなクロスヘアピンや相手の虚を突くドリブンクリアで11-10と先に11点に到達する。ゲーム終盤になってもそのフットワークの軽快さやキレのあるスマッシュは失われず、21-19で第2ゲームも山口が制した。

試合後山口は「スタートが悪く、ミスが多かったので反省点の多い試合です」と不満そうに語ったが、会心の出来でなくともしっかりと試合をものにできる力あってこその言葉であり、明日以降どのように調子を上げていくかが楽しみだ。




男子ダブルス

格上相手に大勝利!日本人男子ダブルス唯一の8強進出

保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸) 21-17 / 21-13 ベリー・アングリアワン/ハルディアント・ハルディアント(インドネシア)

世界ランキング20位の保木/小林が、初顔合わせになる同ランキング16位の格上インドネシアペアと対戦した。

序盤から小林が後衛から打って、前衛で保木が決める得意の展開で連続ポイントを重ね、相手を圧倒する。後半に追い上げられるも、1度もリードを許すことなく第1ゲームを先取。第2ゲームも出だしは連続ポイントを取られるものの、冷静にすぐ立て直し、攻めの自分たちのプレーで21-13と危なげなく勝利。明日は井上拓斗/金子祐樹(日本ユニシス)を下して中国ペアのヘ・ジティン/タン・チャンと対戦し、準決勝進出を目指す。




勝負どころで流れをつかめず…気迫で喰らいつくもあと一歩及ばず。

キム・ウンホ/ソ・スンジェ(韓国)16-21 / 21-18 / 21-18 園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)

一回戦で快勝を見せた嘉村園田ペアは、今年3月に行われたヨネックスジャーマンオープンで負けている韓国ペアと対戦。男子ダブルス初優勝のためにもリベンジを果たし、何としても勝ちたい一戦。

低く速い展開を得意とする園田/嘉村は第1ゲーム、サーブで集中して球を低く沈めて相手に上げさせて得意の形へ持っていく。相手の決め球を何度も凌ぐなどして会場を沸かすなど園田/嘉村らしいガッツあふれるプレーで勢いづく。さらに低く速いラリーを徹底し、相手のドライブに嘉村が前衛で見事な反応を見せる。結局1度もリードを許さずこのゲームを先取する。

第2ゲーム、1ゲーム目に引き続き低い展開で攻める園田/嘉村であるが、意地を見せたい韓国ペアに速いタッチで対応され、どんどん前に出ていく得意のプレーが出せない。ドライブのミスと守る場面が増え、徐々にリードを広げられる。15-20とゲームポイントを握られた後、粘り強いレシーブで追い上げを見せるも一歩及ばず、18-21で第2ゲームを落とす。

ファイナルゲーム、さらにペースを上げて、積極的に球をコートの奥に押し込み、チャンスを作り9-4と抜け出す。しかし、嘉村が「どうしてもあげさせられてレシーブに回る形になってしまった。」と振り返るように韓国ペアは大きな展開でチャンスを作って、長身を生かした鋭いスマッシュを決められて10-12と逆転されてしまう。その後も苦しい展開は変わらず、16-20でマッチポイントを握られる。2連続ポイントで18-20と詰め寄り、逆転の期待が高まったが、韓国ペアの連続スマッシュでその期待は打ち破られた。

試合後二人は、「後半、後衛で我慢できず攻めきれなかった。スタミナの強化が課題(園田)。試合前から思ったプレーができていなかった。調子の悪い時に何とかできるようにしたい(嘉村)。」と語った。




女子ダブルス

母国開催第1シードの意地、福島/廣田がファイナルゲームを押し切る。

福島 由紀/廣田 彩花(岐阜トリッキーパンダース) 21-17 / 15-21 / 21-9 チャン・イェナ/ジュン・キュンユン(韓国)

世界ランキング1位として今大会に臨む福島由紀/廣田彩花ペアは今日が初戦となり、韓国のチャン・イェナ/ジュン・キュンユン ペアと対決した。

第1ゲーム前半は韓国ペアに打ち込まれる展開が多くなる。福島/廣田は攻撃に転じようとするもネット前でのミスが出てしまい思うようにラリーすることができない。しかし、福島がスマッシュでリズムを作ると、日本ペアは持ち味である攻撃の調子を上げ、11-8として折り返す。後半は韓国ペアにしつこく粘られ、16-16と迫られるが、今の福島/廣田のアタックはその上を行く。確実に攻め切って21-17としてタフなゲームを奪取した。

第2ゲーム、韓国ペアは1ゲーム目に引き続き果敢に攻める。力強いスマッシュとドライブに押され福島/廣田は後手に回ってしまう。韓国勢らしい強気の組み立てを徹底したチャン/ジュンが一貫してリードを保ったまま21-15とゲームを奪い返した。

ファイナルゲームになると、福島/廣田は相手のスマッシュをカウンターで素早く捉えることで攻めに転じ、チャンスを量産する。この作戦が功を奏し11-3と大量リードをして後半戦に入る。後半は相手ペアの間を狙った絶妙なショットで甘い球を上げさせた。さらに前へ詰めるスピードを上げた日本ペアが21-9として73分に及ぶ一戦を制した。

福島/廣田は試合後、「シャトルと風の感覚を捉えるのに時間がかかったが、我慢をしながらラリーができてよかった。ファイナルゲームで気持ちをうまく切り替えることができたのが今回の勝因だと思う。」と振り返った。




前回女王、チャンスで勝ちきれず、ファイナルゲームの末、姿を消す。

ドゥ・ユエ/リー・インフィ(中国)12-21 / 27-25 / 21-11 髙橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)

昨年の女王、髙橋/松友が世界ランキング12位のドゥ・ユエ/リー・インフィと対戦した。これまで2戦2勝と髙橋/松友が勝っている。

第1ゲーム、出だしから積極的に攻め、ゲームの主導権を握る。髙橋がスマッシュで崩し、松友が前で決めるプレーで相手を寄せ付けず、21-12で圧倒する。

第2ゲーム、ペースを上げた中国ペアに対応できず、いきなり5連続失点奪われてしまう。相手に攻められる場面が増えるが、ドライブやショートリターンで上手くかわし追いつく。その後は長いラリーでチャンスを作り髙橋/松友が連続ポイントを取るも、中国ペアにミスを誘われ抜け出すことができない。中国ペアの力強いショットに押されることが増え、先にゲームポイントを握られるが、松友/髙橋もフォアからの鋭いクロスカウンターで追いつき、次のラリーも制してマッチポイントを奪うが、髙橋/松友は決め手に欠き、奪うことができない。25-24と再びマッチポイントを握るが、中国ペアの猛攻を凌ぎきれず、そのまま3連続ポイントでゲームを奪われてしまう。

ファイナルゲーム、接戦をものにした中国に一気に離され、流れを変えられないまま6-20。最後に5連続ポイントで粘りを見せるも、ロングリターンがバックアウトになり2回戦敗退となった。

試合後、「相手のリズムに持っていかれ、自分たちのプレーができなかった。(松友)ディフェンスのミスや決め急いでのミスが多かった。1点の重みを感じた試合だった。(髙橋)」と悔しさを滲ませながら語った。




1球1球丁寧に、冷静なシャトルさばきで安定の勝利

松本麻佑/永原和可那(北都銀行) 21-17 / 21-13 マイケン・フラーハード/サラ・ティゲセン(デンマーク)

中国の南京で先月に行われた世界選手権で優勝し、41年ぶりの優勝をもたらした松本/永原は、世界ランキング18位のフラーハード/ティゲセンと対決した。

第1ゲーム、速いラリーが展開される。フラーハード/ティゲセンは、長身を活かしたパワフルなスマッシュで攻め立てる。それに対し、松本/永原は、落ち着いた柔らかいレシーブを見せる。緩急を使い分けたショットで守りから攻めへと転じて、デンマークペアをかき乱す。フラーハード/ティゲセンが幾度となく、一発で決まってもおかしくない強力なスマッシュを打ち込むも、松本/永原は動じることなく、21-17で先取する。

第2ゲームは松本/永原ペアの独壇場となる。デンマークペアに打ち込まれるも、前衛に触らせないレシーブで安定のディフェンス力を見せる。自分たちのペースを貫いた松本/永原はリードを一度も許すことなく、21-13で準々決勝進出の切符を掴んだ。




混合ダブルス

世界選手権覇者、渡辺/東野ペア ミスを修正し激戦を制す!

渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス) 21-14 / 15-21 / 21-16 タン・チュンマン/ツェ・インスェット(ホンコンチャイナ)

今大会初登場の渡辺/東野ペア。今年2戦2勝と相性の良い香港ペアと対戦。

第1ゲーム前半、お互いに探り合うように緩やかな立ち上がりを見せた。10-10から渡辺が得意のドロップでノータッチを取り11点目を先取。インターバル後は両者ともスピードを上げたが、相手のミスと渡辺のスペースを突くショットで香港ペアを一気に引き離す。最後も相手のミスで第1ゲームをものにする。

第2ゲーム、序盤から渡辺/東野が仕掛けるがミスも多く競った展開に。試合が動いたのは12-12。渡辺のスマッシュを香港ペアにカウンターで返され、ノータッチエースとなる。その後もカウンターで渡辺が崩され、一気に5連続失点。「相手の得意なハードな球を打ってしまった。」と渡辺は試合後に振り返った。3連続ポイントで反撃を試みるもそのまま相手に押し切られ、15-21で試合はファイナルゲームへ。

勝負のファイナルゲーム、立ち上がりから渡辺/東野は低いドライブのラリーで5-1とスタートダッシュをすれば、緩急をつけたショットで更に点差を広げる。しかし後半インターバル直後、自分たちのミスと角度のあるスマッシュに対応できず、流れが香港ペアに傾くと一気に16-15まで追い上げられる。どうにか流れを止めたい日本ペア、東野が苦しい体勢から相手の虚を突くスマッシュを決める。次のラリーでも力強いジャンピングスマッシュを見せ、流れを引き戻し、試合を決める。

試合後東野は、「ファイナルゲームでは第2ゲームのミスを修正して自分たちのプレーができた。最後はしっかり粘れたので良かった。」と笑顔で話した。




中国の壁破れず、スピードに追い付くのが精一杯

ジェン・シーウェイ/ファン・ヤチョン(中国) 21-18 / 21-14 金子祐樹/松友美佐紀(日本ユニシス)

第1ゲームの序盤から速いペースでのシャトル運びが続いた。ファン・ヤチョンの手堅いレシーブでオープンスペースのリターンを行うとジェン・シーウェイがジャンピングスマッシュで決めるなどして、中国ペアが主導権を握る。それに対し、金子/松友はエンドラインまでしっかりとロブで返しチャンスを狙うも、自分達のペースへ持ち込むことが出来ない。ジェン・シーウェイ/ファン・ヤチョンは日本ペアへ主導権を一度も渡さぬまま、21-18でゲームを奪う。

第2ゲームに入ってもジェン・シーウェイ/ファン・ヤチョンが徹底したアタックでゲームを進めていく。金子も角度あるスマッシュを見せるがサイドアウトになるなど思うようにシャトルをコントロールしきれない。金子/松友は見せ場を作れず21-14で中国ペアが勝利した。 試合後、「今まで一度も勝てた経験がない相手です。正直、強くスピード感のある相手のシャトル運びについていくのが精一杯でした。」と金子/松友が語った。