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注目選手紹介4 リター・ユール＆ぺダセン
タカマツの宿命的ライバル!
スポーツマンシップ漂うリター・ユール＆ぺダセン
「もし夢が一つかなうとしたら、３ゲーム19－16の場面からやり直したいわ」
昨年のリオ五輪女子ダブルス決勝で、日本の髙橋礼華／松友美佐紀（日本ユニシス）に敗れて、こう話したのはデンマークのカミラ・リター・ユールとクリスティナ・ぺダセンだ。
大逆転を喫し心底悔しそうではあるが、激戦を戦いきったあとの表情はどこかさっぱりとしていて、２人に魅了された人も多いはずだ。
さらに昨年の今大会では決勝戦へ進み、タカマツとオリンピックを彷彿とさせる戦いを再現。激戦のすえ、３ゲーム序盤で抜け出したデンマークが "リベンジ"を果たした。このとき、２人が残したコメントがこうだ。
「まずはお詫びをさせてください。日本のヒーローである髙橋／松友ペアを日本の地で破ってしまい少し申し訳ない気持ちです。でも、尊敬する日本のペアを相手にタフな試合を見せられたことは本当によかった」（リター・ユール）
――勝負を楽しむのと同時に、ライバルの立場を心から尊重する。
デンマークペアが魅力的なのは、決して勝利至上主義ではない、このような礼儀正しさが漂うからなのだ。
混合ダブルスでもトップクラス
プレーのきっかけは家族の影響
そんな２人は家族の影響でバドミントンを始めた。
1983年生まれの33歳のリター・ユールは、ジュニアクラブのコーチだった母の影響でバドミントンをスタートした。
「だからいつバドミントンを始めたかよく分からないのよ。ラケットを握ったのは４歳くらいらしいけど、赤ん坊のときからコートにいて、羽根を打つ音を聞いていたみたい」
ジュニア時代は水泳にも取り組み、スポーツ経営学を学んでいた学生時代にデンマーク代表入り。ちょうど20歳だった。
一方、31歳のペダセンは両親がバドミントンの愛好者だった。バドミントンが盛んなオルボーに生まれ６才でプレーをスタート。デンマーク代表になったのはやはり20歳のときで、当時、教育学を学ぶ学生だった。
二人はこうして2006年にデンマークチームで顔を揃えるが、すぐ組み始めたわけではない。最初は別のパートナーがおり、それぞれが最初に頭角を現したのは混合ダブルスだった。2009年の世界選手権では、リター・ユールが金メダル、ペダセンは銅メダルを獲得。リター・ユールとペダセンは、混合ダブルスで培った力をのちに女子ダブルスに生かした珍しいタイプのペアなのだ。
２人は混合ダブルスでトップランカーの仲間入りを十分に果たすと、2010年、いよいよペアを結成。すると世界選手権では、2013年に銅メダルを手にし、10年ぶりの女子ダブルスのメダルを母国にもたらすまでに成長した。
男子のスマッシュの強さ、速さに慣れているから、どんな球も手首だけで押し返す強さを持っている。加えてリター・ユールが183センチ、ペダセンが178センチと男子並みの高さを生かした角度ある攻撃で相手に襲いかかる。それが女子ダブルスでの２人の強さで、昨年のリオ五輪での銀メダルに繋がった。
静と動――
正反対の２人だからうまくいく
ただ２人は性格はずいぶん違うらしい。お互いに尊敬しあっていることを前提にパートナーに直してほしい点を尋ねられるとこう話している。
「クリスティナはミスが続くと、落ち込んじゃうの」（リター・ユール）
「カミラは、試合中、カッカしやすいかな（笑）」（ペダセン）
ただこのように正反対だからうまくいっているのかもしれない。
試合中、相手に流れが傾き、リター・ユールが熱くなりすぎる場面でも、ペダセンはコート全体を見渡し冷静に流れを取り戻す。一方、ペダセンが簡単なミスを犯し顔に手を覆っているときは、リター・ユールが背中をバンッと叩いて、気にするなと言っている場面をよく見かける。バランスがとれているのだ。
そしてベテランといっていい年齢の２人だが、まだ高い目標を見失っていない。とくにリオ五輪後も混合ダブルスを継続しているペダセンはこう話す。
「私の目標は、女子ダブルスと混合ダブルスで完璧な世界クラスになることなの」
８月現在、女子ダブルスの世界ランキングは２位。ペデルセンの混合ダブルスの世界ランキングは６位だ。年齢を重ねてもなお、２人には衰えを感じさせる気配がまったくない。ダイハツ・ヨネックスジャパンオープンでは、２人の女子ダブルスに混合ダブルスらしいプレーがどう潜み、生かされているかぜひ探ってほしい。
⦿リター・ユール＆ペダセン
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