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注目選手紹介2 リー・チョンウェイ
7度目の優勝がかかるリー・チョンウェイ
進化するレジェンドに括目せよ
昨年、リー・チョンウェイは、デンマークのヤン・ウ・ヨルゲンセンを下し、6度目の優勝を遂げると、こんなふうに話していた。
「おそらく世界選手権を戦うのは来年で最後。そこまでしっかり戦い抜きたい。その翌月にあたる来年のこの大会では7回目の優勝をして、誰にも手が届かない記録を更新するつもりだよ」
この言葉から読み取れることは何か。一つ目は、彼がまだ手にしたことがない世界選手権の優勝という大きな目標を持っていること。二つ目は、レジェンドがとうとう"引退"を視野に入れ始めているということだ。
実際、いつ戦いの場を降りてもおかしくない年齢に達している。今年10月で35歳。
18歳で初めて出場した2001年大会から16年が経過している。ライバルと激しいバトルを繰り広げ、2007年に初優勝。以来、「日本が好きだから」とほとんど欠かすことなく来日し、打ち立てた6回優勝という金字塔は、もはや今年、記録を更新せずとも破られる可能性は低い。
リー・チョンウェイとはそんな偉大な選手だ。
レジェンドを突き動かす原動力とは?
しかし、これだけ素晴らしい戦績を残していながら、オリンピックでは北京、ロンドン、リオと3大会連続で銀メダル。9回出場した世界選手権も3度決勝へ進みながら(2011、2013、2015)、いずれも銀メダルで終わっている。
十分、偉大な選手であるにも関わらず、あと一歩が届かない。だから、このままでは終われないと、彼は絶対的な勝利を渇望し、今なお孤高の苦しい道を歩んでいるのだ。レジェンドを突き動かす原動力である。
その決意に一点の曇りもない証拠に、今年3月の全英オープンでは4回目の優勝を飾った。決勝では21歳のシー・ユーチ(中国)をたった10本、12本で撃破。華麗なスマッシュ&ネットはもちろん健在で、さらに進化した相手の攻撃を完璧に封じる球回しが見事だった。
今大会では進化する戦いぶりを見よ
東京五輪までの続行も?
チョンウェイも全英の戦いぶりに手応えを得たせいか、試合後、こんなふうに話している。
「じつは2月にケガをして万全ではなかった。でも僕が全英で勝ちたいと思うなら、僕はまだそれが実現できることがわかった。それが大きな収穫だ」
さらに今後のキャリアについて問われるとこう返している。
「どうして僕がいま、引退することを考えなくちゃいけないんだい? やめるべきときは、体が動かなくなったときだよ。でも僕はまだ試合をするために燃えていられるからね。東京五輪にも出られるかもしれない」
こうしてリー・チョンウェイの1年を振り返ると、リオ五輪後こそ"引退"という言葉が頭をかすめていたようだが、徐々にトップに居続けられる実感を得て、"東京五輪"まで見据えるようになったように見える。
引退か、続行か。おそらくそれは彼自身も分からないことなのだろう。
だが確かなのは、チョンウェイが34歳になっても衰えぬスピード&パワーを持ち、戦術は以前よりも磨かれていること。そして、神の領域に達したプレーと魂を今大会では必ず見られるということだ。一人でも多くの人に神の姿を見届けてほしい。