明日の見所

9月4日の見どころ(決勝戦)

*世界ランキングは8月30日現在

男子シングルス
西本拳太が優勝へ突き進む!
世界選手権「銅」のベテランが相手

 ここ2週間、数々の熱きドラマを繰り広げてきた西本拳太(WR21位)が、明日、いよいよクライマックスを迎える。

 準決勝、28歳の西本は、世界選手権1回戦で下した世界3位のアンダース・アントンセン(デンマーク)にふたたび勝利。長身の猛攻を凌ぐべく、ヘアピンやプッシュを有効に使って22―20、21―19で激戦を終わらせ、跳びあがって決勝進出を喜んだ。

 2試合連続で難敵をねじ伏せ、西本は「気持ちの高まりは最高潮です!」と興奮を止められない。「もちろんここまで来たら優勝しかない」と王座への思いも増している。

 そんな日本の希望の星が明日、対戦するのは、誰よりも強いハートを持つベテランの周天成(WR6位)だ。

 世界選手権で銅メダルを獲得した周天成は、この2週間で9試合を戦い、うち6試合がファイナルゲームにもつれる接戦を勝ち抜いてきた結果が証明する通り、明日の西本のライバルは、32歳になったいまもスタミナ豊富なタフガイだ。

 周天成は西本戦を前に「明日は全力で頑張るだけです」と静かに思いを語る。競りあった場面でのシャトルへの執着心が強い選手だけに、最後の1点まであきらめず、全力でコートを駆けるだろう。

 そんな猛者を西本は攻略できるか。激戦必至の熱い戦いに是非注目してほしい。

【明日への抱負】

西本拳太「周天成選手の手の内はよく知っている。試合が長くなるほどチャンスがあると思うので、100%自分の力が出せるように頑張ります」

対戦成績=周天成が8勝2敗


女子シングルス
山口が最後の戦いへ。
2連覇かけ、韓国のホープと対戦

 東京では世界選手権2連覇を達成、そしてここ大阪では決勝進出。この2週間、誰よりも長く戦い、感動の物語を紡いできた山口茜(WR2位)が、明日、最後の戦いに挑む。

 準決勝では、世界選手権の決勝で戦った陳雨菲(WR4位)を3ゲーム24―22の激闘で勝ち切った。どちらが勝ってもおかしくなかった接戦を制した山口は、「生のプレーを見に来てくださっている人の記憶に残るプレーをしたかった」と会場のファンを思う胸の内を明かした。今の山口に決勝に対しての不安はなく、戦い抜く覚悟しかなさそうだ。

 そんな山口の最後の対戦相手は、韓国のライジングスター安洗瑩(WR4位)。東京五輪後、ワールドツアーで5勝を挙げたホープは、直近の世界選手権準決勝で山口と対戦し、19本、12本で散った。この苦い敗戦について、安洗瑩は「山口選手は世界1位らしく、ミスなく完ぺきだった」と振り返っている。

 それだけにいま、安洗瑩の胸にあるのは、挑戦者の思いだ。明日の決勝に向けて山口の実力を知りつつ、そんな中自分が有利な部分を聞かれると、「身長と年齢かな」と冗談を口にしたが、「とにかく自分らしいプレーをするだけ」と決意を語った。

 「本当にもうラストなので。今日の(試合の)最後みたいにバドミントンを楽しくやれたらいいかなと思います」と山口自身が語るように、いよいよ2連覇まで残り1戦だ。

対戦成績=山口茜が8勝5敗


男子ダブルス
デンマークのベテランと
中国の21歳ペアが対決!

 男子ダブルスの決勝は、33歳&30歳のアンダース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク WR8位)と21歳同士の新鋭、王昶/梁偉鏗(中国 WR88位)の顔合わせになった。

 「信じられない」と初々しい表情を浮かべるのは、今回が5回目の国際大会出場だという中国ペアだ。今年5月から組み始め、「コンビネーションはまだまだ」というが、2人は対話を重視し、勝ちパターンを少しずつ増やしている。

 今回、決勝戦まで勝ち進んだことで目標も高くなった。2回戦で世界選手権銀のヘンドラ・セティアワン/モハマド・アッサン(インドネシア WR3位)に勝った際は、「年末までに世界30位以内に入れればいいな」という思いが決勝へ進んだことで、「目標は20位以内に変わった!」と明るい表情で述べた。また、世界選手権の男子ダブルスに中国から出場できなかったことから、「僕らが新しい時代を築く」という思いを口にした。

 一方、Super500以上のワールドツアー優勝は、2018年チャイナオープンが唯一のデンマークペアは、今回の決勝進出を千載一遇のチャンスと見ている。

 「男子ダブルスは、数独みたいなものなんだ。一つの手が行き詰まれば、違うことをやらないとダメ」とラスムセンが冗談混じりに話した。明日は、序盤で様々なショットを繰り出し、頂点への攻略法を見つけていく。

 ベテランの経験が勝つか、若い勢いが勝つか。男子ダブルス決勝は、そこが注目のポイントだ。

【明日への抱負】

対戦成績=初対戦


女子ダブルス
韓国の若手決戦!
次代のエースの座を奪い合う熱戦か

 準決勝には、世界選手権の決勝を争った中国の陳清晨/賈一凡(WR1位)と韓国の金昭映/孔熙容(WR3位)が順当に進出。しかし、韓国の3、4番手が金・銀メダリストにアップセットを演じ、決勝戦は、フレッシュな若手が対決することになった。

 「信じられない!」とより大きな歓喜の声をあげたのは、韓国4番手の白荷娜/李幽琳(WR32位)。21歳&22歳ペアは、世界選手権金の陳清晨/賈一凡に勝った瞬間、両手を上げ「ここまで来られるなんて」と固く抱き合った。準々決勝でも永原和可那/松本麻佑(日本 WR6位)にファイナル勝ちし、鉄壁のレシーブを見せつけている。

 明日に向け、李幽琳は「明日は知っているプレーがたくさん出てくるので、長丁場になると思う」と長期戦を覚悟している。

 一方、もう一つの山から上がってきた金慧貞/鄭那銀(韓国 WR10位)は、先週の世界選手権で金昭映/孔熙容に惜敗した悔しさを晴らして決勝進出を遂げた。ペアを組んで1年目でワールドツアーの決勝進出は3回目。金昭映/孔熙容戦では緩急つけたショットで相手のリズムを崩している姿が印象的だった。

 明日はどちらが勝ってもSuper750以上の大会での優勝は初。世界ランキングでは、金慧貞/鄭那銀が上だが、白荷娜/李幽琳にも次代のエースの座をつかみたい意地があるだろう。互いに頂点を譲れぬ思いが熱き戦いを生みそうだ。

 

【明日への抱負】

白荷娜「私たちの持ち味はディフェンス。しっかり守ってからチャンスをつくりたいです」

鄭那銀「決勝戦に出るからには、全力で戦います!」

対戦成績=初対戦


混合ダブルス
渡辺/東野が初Vへ王手!
魂をかけて世界1位のタイペアと戦う

 準決勝、日本の渡辺勇大/東野有紗(WR3位)が、観客の魂を震わす気迫の戦いを見せた。世界選手権の決勝で完敗した中国の鄭思維/黄雅瓊(WR2位)に、3ゲーム23―21の激闘のすえ勝利。渡辺の安定したコートカバー力に加え、世界選手権のあと、「コートにいた4人のなかで、私だけがダメだった」と悔し涙を流していた東野のネットプレーが絶品だった。

 「今日は東野選手がとてもよく、私たちが決めたと思っても意外な球が返ってきた」と中国ペアが舌を巻いたほどのデキだった。

 渡辺/東野は、明日の決勝戦、中国ペアを突き放した勢いで、世界ランキング1位のデチャポン・プアヴァラヌクロー/サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)を倒しに行く。

 これまでの対戦成績は5勝3敗。勝ち越してはいるが、タイペアは、昨年末の世界選手権決勝、ワールドツアーファイナルズ決勝と、大舞台で日本ペアに勝っている侮れない相手だ。疾風怒濤の速いラリーを構築し、主導権を奪いにくる。

 「こちらはノープレッシャーなので、ベストを尽くすだけ」とタエラッタナチャイ。タイペアは優勝すれば、13年ぶりの栄冠を母国にもたらすことになる。

 一方、混合ダブルスで日本初優勝がかかる渡辺/東野は、明日も気迫のプレーで会場を沸かすつもりだ。歴史を変えるかもしれない瞬間を見届けにきてほしい。

【明日への抱負】

タエラッタナチャイ「明日はしっかりとコンディションを整え、自分たちの戦略を貫きたいです」

対戦成績=渡辺/東野が5勝3敗