9月2日の見どころ(準々決勝)
*世界ランキングは8月30日現在
男子シングルス
快進撃続く西本拳太!
インドネシアのライジングスターと対決
優勝候補が1回戦で数多く消えたなか、絶好調なのが、日本の西本拳太(WR21位)だ。初戦でインドのエース、ラクシャ・セン、2回戦で2018年アジア大会優勝のヨナタン・クリスティ(インドネシア・WR8位)と、格上を連破し、明日は、インドネシアのチコ・オーラ・ドゥイ・ワルドヨ(WR35位)を迎える。
1回戦で桃田賢斗(日本・WR2位)を下したワルドヨは、今年7月のマレーシアマスターズでワールドツアー初優勝を遂げ、今大会の出場権を滑り込みでつかんだ24歳。遅咲きだが、強肩を持ち味にするアタッカーだ。
「パリ五輪出場を目指し、頑張っています。西本選手は粘り強いので、しっかり攻撃をぶつけていきたいです」
西本はこのワルドヨの攻めをいかに止めるか。28歳を迎えたばかりの西本は、「日本の男子シングルス界を自分も盛り上げたい」という決意を胸に、準決勝行きの切符をもぎ取りに行く。
地元出身の常山が「イケイケGO! GO!」
.世界3位のデンマーク選手に勝ちに行く
近畿で生まれ育った常山幹太(WR17位)が、2回戦でインドのスリカンス・キダンビ(WR14位)に10本、16本の快勝。準々決勝は、2回戦同様、「イケイケGO!GO!」の攻める気持ちで世界3位のアンダース・アントンセン(デンマーク)と戦う。
その胸中にあるのは、西本と同じく「勢いを失いつつある日本男子シングルスの閉塞感を打破したい」という思いだ。
「もっと日本全体が強くなるために、自分が勝っていきたい」と常山は語り、世界に自らの存在感を示したいと願っている。もちろん、応援に駆けつけている家族や仲間の目に勇ましく戦う姿を焼き付けたい気持ちも強い。
対するアントンセンは、世界選手権の1回戦で西本拳太(日本 WR21位)に敗れ、今大会の2回戦では日本の奈良岡功大(WR30位)に92分の激闘を強いられた。ホームで勝利を渇望する日本選手の強い執念をひしひしと感じていることだろう。
アントンセンは「常山選手とは過去にも何度も対戦している。いい試合ができるといいなと思っているよ。」
常山は、アントンセンの183センチからの猛攻をしっかりしのぎ、オープンスペースにキレあるショットを沈めていきたい。
対戦成績=常山が0勝5敗
【このほかの注目選手】
●周天成(チャイニーズ・タイペイ):22年世界選手権銅メダル
●石宇奇(中国):18年世界選手権銀メダル
女子シングルス
世界女王・山口茜は
競り合い連続のタイ選手と激突
3回戦で2016年ジャパンオープン優勝の何冰嬌(中国・WR9位)を下した世界選手権2連覇の山口茜(WR2位)は、タイのポルンパウィ・チョチュウォン(WR10位)の挑戦を受ける。
チョチュウォンは170センチと長身の24歳。主要ワールドツアーで優勝したことはないが、昨年の全英オープン決勝で奥原希望(日本・WR6位)と優勝を争った地力ある選手だ。対戦成績も山口が6勝4敗と拮抗しており、直近の4試合はすべてファイナルゲームにもつれている。「疲れていないとはいえない」という山口にとっては、怖い相手になるだろう。
それでも、いまの山口には最後まで戦い抜きたい理由がある。会場に足を運んでくれた日本の観客たちの存在だ。観客席には、山口の拠点・熊本から山口を応援しに来た学生たちの姿もある。
「(彼らにとって)何かお手本になる部分があればいいし、難しいですけど試合は楽しむものだと伝わればいいなと思います」
2週連続での大会、しかも世界選手権というビッグイベントのあとでの大会で勝つことは簡単ではないが、山口は気力を保ち、偉業に挑む。
対戦成績=山口茜が6勝4敗
韓国のホープ安洗瑩が
リオ五輪優勝のマリンと対決!
東京五輪後、ワールドツアーで5勝を挙げた20歳のライジングスター、安洗瑩(韓国 WR4位)と、2016年リオ五輪金メダルのキャロリーナ・マリン(スペイン WR5位)の対戦も盛り上がりそうだ。
女子シングルス界でもっとも勢いのある安洗瑩は、先週の世界選手権で準決勝まで勝ち進んだが、「体の状態はかなりいい」と初優勝の自信をのぞかせる。準々決勝では、スマッシュとカット、クリアーを多彩に打ち分け、リオ五輪の金メダリストを四隅に動かすつもりだ。
「マリン選手はスピードとパワーがある。久しぶりの対戦で不安はありますが、1本1本丁寧にプレーしたい」と安洗瑩。
一方、マリンは、21年6月に負った左ひざのじん帯断裂から復帰して間もないが、先週の世界選手権で準々決勝まで進み、世界上位と対等に戦う自信を取り戻している。とりわけ中国・何冰嬌に3ゲーム16―20から逆転勝ちした一戦は、マリンの並ではない強心臓ぶりを証明していた。若い安洗瑩は、元五輪王者の執念深さに手を焼きそうだ。
対戦成績=マリンが4勝2敗
【このほかの注目選手】
●陳雨菲(中国):21年東京五輪金メダル
●戴資穎(チャイニーズ・タイペイ):21年東京五輪銀メダル
男子ダブルス
東京五輪「銀」の中国選手が
韓国のベテランを撃破しにかかる
1回戦で第2シードの保木卓朗/小林優吾(日本・WR2位)、2回戦では東京五輪金メダルの李洋/王齋麟(チャイニーズ・タイペイ・WR4位)と、世界1位のマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルヨ(インドネシア)と、優勝候補たちが早々と散る波乱の男子ダブルス。
先行きの予測が難しいなか、ひと際に元気にプレーしているのは、今年3月からペアを組む中国の劉雨辰/欧烜屹(WR24位)だ。
中国ペアは世界ランキングこそ高くないが、劉雨辰は東京五輪で銀メダルに輝いたアタッカー。欧烜屹とのペアでもスピードある攻めで、トップ10内に入れる実力を備える。
「まだコンビネーションに課題がありますが、一つひとつの試合を頑張っています」と劉雨辰。
準々決勝、この成長著しいペアの相手になるのは、韓国のベテラン金基正/金沙朗(WR82位)だ。世界ランキングは3ケタに違いが、今年の韓国マスターズでは中国ペアにストレート勝ちしている。世界選手権で銅メダルを獲得した実績もあり、明日もしぶとくプレーしてくるだろう。
世界トップへの返り咲きを願う中国ペアが、今度こそ、鉄壁の守備を誇る韓国を打ち崩せるかに見どころがありそうだ。
対戦成績=金基正/金沙朗が1勝
女子ダブルス
初優勝目指すナガマツ
韓国ペアと激突!
前回大会2位と悔しさを味わった永原和可那/松本麻佑(日本 WR6位)が、初優勝に突き進んでいる。日本で唯一残ったペアとして、準々決勝は21歳&22歳の白荷娜/李幽琳(韓国・WR32位)と顔合わせする。
これまでの対戦成績でいえば、永原/松本が2勝1敗とやや有利だが、2017年世界ジュニア選手権で優勝した実績のある韓国ペアは伸長著しく、いつ大化けしてもおかしくない。日本ペアはラリーに持ち込む前に得意な鋭角ショットを沈めたいところだ。
2回戦でフランスペアに3ゲームまで苦しめられた永原/松本は、「今日は先に自分たちが崩れてミスしまった。明日はしっかり反省して臨みたい」と次戦に備えている。
対戦成績=永原和可那/松本麻佑が2勝1敗
東京五輪金のラハユが
世界1位の中国ペアに2勝目を誓う
2回戦で中国の若手ペアに勝ち、準々決勝で世界王者の陳清晨/賈一凡(中国・WR1位)を迎えるアプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア・WR40位)の試合も盛り上がりそうだ。
とびきり明るいインドネシアペアが組み始めたのは、今年6月。東京五輪金のラハユは、パリ五輪での頂点を目指し、ネット前に立つゲームメーカーにラマダンティを選んだ。早くもワールドツアーで2勝を挙げており、順調に世界ランキングを伸ばしている。
好調の理由について、年下のラマダンティは「私が失敗しても、アプリが必ず“大丈夫、大丈夫”と言ってくれるので、のびのびプレーできているんです」と明かす。
陳清晨/賈一凡には、直近の6月のマレーシアオープンでファイナル勝ちしており、今回もインドネシアの戦略がはまれば、低く速く打ち合う展開になるだろう。執拗にネット前にシャトルを返すインドネシアの“ノーロブ”の技術も見てほしい。
対戦成績=ラハユ/ラマダンティが1勝1敗
混合ダブルス
東京五輪3位決定戦がふたたび
ワタガシがホンコン・チャイナと戦う
東京五輪のメダリストたちが順調に勝ち進んでいる混合ダブルス。銅メダリストの渡辺勇大/東野有紗(日本 WR3位)も狙い通りにコマを進め、準々決勝では、東京五輪3位決定戦でメダルを激しく争った鄧俊文/謝影雪(ホンコン・チャイナ WR7位)を迎える。
試合が長く続いているが日本ペアのコンディションは悪くない。東野が「1日1日よくなり、完全に疲れがふっきれている」と明かせば、渡辺は「(優勝を目指した)世界選手権で持っていた意識を保ち続けるようにしている」と話し、大阪でも優勝に照準を合わせていることを打ち明けている。
対するベテランのホンコン・チャイナペアは、「日本ペアが以前よりも強くなっていることはわかっているので、明日は自分たちらしくプレーするだけだ」と冷静に分析。渡辺のジャンプドロップや、東野のプッシュが怖いこともよくわかっているだけに、試合は長丁場になりそうだ。
対戦成績=渡辺勇大/東野有紗が8勝1敗
【このほかの注目選手】
●鄭思維/黄雅瓊(中国 WR2位):21年東京五輪銀メダル、22年世界選手権金メダル
●王懿律/黄東萍(中国 WR4位):21年東京五輪金メダル、22年世界選手権銅メダル
●デチャポン・プアヴァラヌクロー/サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ WR1位)